My Days in Hospital [Storm] 6 (ページ12)

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side A

「はい、じゃあ今から薬入れてくから大きく口開けてー。」

薬の入った注射器を構えた翔ちゃんに目で口開けさせてと合図された。
でも強引にやれってわけじゃないよね？少し開いたらさり気なく顎を引いてやれって意味だと思うけど……

注射じゃないからと少し安堵したAだけどやっぱりいつもと雰囲気が違うのを感じとったのか、きゅ、と口は固く閉じられてるし身体に力も入っている。
急に検査着に着替えさせられて、おまけに薬、だったら誰だって緊張しちゃうよね…

「ほら、A、あーんって。怖くないからお口開けれるかな？」

とんとんとAの口元を軽く叩いて口を開けるように促す。
大丈夫だよ怖くないよってほんとは表情でも安心させてあげたいけど恐らく見えてないからAに対する行為や声掛けで優しさを伝えていく他ない。

「そうそう、お口開けれたねーお利口さーん。…ちょっとごめんねー？」

スッと軽く顎を引いて薬が入れやすいように配慮する。
それを怖いと思ったのかびくりと肩を震わせたA。

「ごめん吃驚したなー、あと10数えるうちに終わっちゃうからそれまでちょっと頑張ってよー。今から入れるからちゃんとごっくんなー。」

翔ちゃんが断ってから、注射器をAの口内に入れてピストンを押して薬を注入するまであっという間。
10もいらなかったね笑

流石翔ちゃん！

はーい、ごっくん。と声をかけてあげればこくんと喉が動いたのが確認出来てちゃんと飲めたことがわかった。

「はい終わりー。頑張ったから怖いのは少しずつなくなってくと思うから安心して？」
とAの頭を一撫でして、じゃああとよろしくーって出てった翔ちゃん。

安心できるように背中を撫でていると安心してくれたってことでいいのかな。
まだ薬が効くのに時間はあるはずなのにすーっと眠っちゃった。
安定剤もちゃんと効いてくれるだろうし、ひとまず何とかなるかなーって俺も少し安心。

検査になれば軽く鎮静かけてるとはいえまた怖がっちゃうだろうから今のうちにリラックスしててほしい。
トントンと背中を叩きながらAの寝顔を覗く。

ふふ、かーわい

そうこうしてるうちに30分近くなんてあっという間に経ってた。
何も断らないで起きたら検査室っていうのもあれだから一応起こして…

「Aー、1回起きてー。」

背中を軽くとんとんと叩くともぞもぞしながらもゆっくりと目を開けたA。

「Aー、今から検査するお部屋行くからね？」