風に翔ける【究極の絆グリフォン】 (ページ7)

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パスを受け取った白竜は、帆田と連携をとりながらそのまま相手陣内に切り込む。それを見たシュウとカイは、2人に徹底的にプレッシャーをかけ、シュートコースを塞いでいく。それに比べ、私達MFへのマークは、あまり手厳しいものではない。

「(これ、結構上手くいってるかも…)」

何しろエンシャントダークも、あの白竜が考えた作戦の重要な機関がMFの私と青銅だとは思いもしないだろう。事実、ついこの間までの試合はFWが中枢になっていた。

グラウンド全体を見れば、相手FWのカイ、そして得点力のMFであるシュウは既にこちらの陣内の真ん中へ。

残りのMFとDFは白竜と帆田に囚われて私の方には見向きもしない。これならおそらく気づかれることなくゴール前まで動くことができる。

「新田！」

「おう！スプリントワープ！」

ここで帆田が、中盤まで上がっていたミルにボールを戻す。パスを受け取ったミルは、アンリミテッドシャイニング固有のドリブル技、スプリントワープの目にも止まらぬ動きで相手MFを翻弄し、一気にゴール近くまで攻め上がった。

「よしっ、A！！」

「うんっ！」

ここで私にボールが渡る。ゴールまでの距離はあと少し。残る壁はDFの野谷のみ。

「清風明月！」

「ッ、まずいっ、全員戻れ！」

「今更気づいても後の祭り、って奴だよ、シュウ。ざまぁみろだね！」

声と共に野谷を抜く。背後で焦ったように動き出すシュウ達の動きが見て取れるが、そんなの知ったこっちゃない。

今の技は、清風明月…こちらは私固有のドリブル必殺技だ。清らかな風を孕んで、月の光と共に相手を抜き去る。私は他のメンバーと違ってスプリントワープを使えない為、基本的にこの技に頼っている、という形。これを元に、私は化身を覚醒させた。…ということになっている。

「…青銅ッ！」

「おうよ！“精鋭兵・ポーン”！」

間髪入れずゴール前、かつノーマークの青銅にセンタリング。化身を発動した彼はそのまま化身シュートを叩き込む。予想よりかなり早い先制のボールは、芦矢と共にゴールに押し込まれていった。

“アンリミテッドシャイニング、先制”

頭上の電光掲示板に文字が表示され、スコアは1ー0。牙山の機嫌も上々なようで、白竜の方を見ながら満足気に髭をなぞる。

「いやぁ～、思いの外上手くいったわ。ぶっつけ本番だったけど」

「次はお前が決めろよな。そもそも俺の化身はシュート向きじゃねぇんだよ」

「へーい」