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「…でもやっぱり、化身しかないんじゃない?相手のGKは芦矢…そう簡単にゴールは割れないと思う」
原点回帰。堂々巡り。正に今この状況のことだ。笹山の言葉に思わず肩を落とした。
私は、あまり化身に頼りすぎたプレーはしない、ということを身上にしているつもりだ。勿論、限られた人間のみが使える能力であることも、使うにはそれなりの努力が必要だということも、理解はしている。多くのシードの憧れであることも。
でも、化身が…化身がサッカー界に出現してから、全てが狂い始めた。沢山のサッカー関係者が、血眼になって化身について調べて、フィフスセクターに問い合わせて。挙げ句の果てのその答えが、ここ、ゴッドエデン。
だから嫌いだ。化身が。あんなものが存在しているから、こんな施設が作られた。フィフスセクターが力を増した。そう考えてもおかしくないくらい、サッカーに影響を及ぼしている。…思えば、白竜がおかしくなったのもあれが出現し始めた時期だった。
まぁ、だからと言ってこの作戦を実行しないなんて選択肢は、私の中に存在しない訳ですが。
「行ける?青銅」
「やるしかないだろ。…でも、俺のポーンはシュート技を持っていない。1番負担がかかるのはAだ」
「私は別に構わないよ。なんとかやってみる」
大丈夫、な筈だ。シュウ達に意図に気づかれる前に、出来るだけ点を稼いで、後は本職の攻撃陣営に任せればいい。一定の差をつければ、後は白竜と帆田が一気にケリをつけるだろう。
「頼んだよ〜、司令塔」
「プレッシャーやめい」
我らがアンリミテッドシャイニングは、選手数が全部で十二。今圧をかけてきたのは、本日ベンチスタートの銀座宮である。
そして私のこのチームでの役割は、所謂司令塔、というやつだ。とは言え、ここ最近のキャプテン中心のチーム練習では殆ど出る幕はない。今日は別として。
私達MF陣が持ち場に戻ったのを確認して、牙山が腰に手を当て胸を張り、声を張り上げる。
「久々の試合だからと言って甘くみたりはしない!全力でかかれ!」
言い終わった瞬間、彼はさっと上に手をあげ、ホイッスルを鳴らすように指示。コンマ1秒程の間の後、グラウンドに機械的な笛の音が響き渡る。それを合図に、帆田が白竜へボールを蹴り出した。…試合、開始。
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作者名:わらびもち | 作成日時:2020年8月18日 23時