検索窓
今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:14,627 hit

5 ページ6

「…でもやっぱり、化身しかないんじゃない?相手のGKは芦矢…そう簡単にゴールは割れないと思う」

原点回帰。堂々巡り。正に今この状況のことだ。笹山の言葉に思わず肩を落とした。

私は、あまり化身に頼りすぎたプレーはしない、ということを身上にしているつもりだ。勿論、限られた人間のみが使える能力であることも、使うにはそれなりの努力が必要だということも、理解はしている。多くのシードの憧れであることも。

でも、化身が…化身がサッカー界に出現してから、全てが狂い始めた。沢山のサッカー関係者が、血眼になって化身について調べて、フィフスセクターに問い合わせて。挙げ句の果てのその答えが、ここ、ゴッドエデン。

だから嫌いだ。化身が。あんなものが存在しているから、こんな施設が作られた。フィフスセクターが力を増した。そう考えてもおかしくないくらい、サッカーに影響を及ぼしている。…思えば、白竜がおかしくなったのもあれが出現し始めた時期だった。

まぁ、だからと言ってこの作戦を実行しないなんて選択肢は、私の中に存在しない訳ですが。

「行ける?青銅」

「やるしかないだろ。…でも、俺のポーンはシュート技を持っていない。1番負担がかかるのはAだ」

「私は別に構わないよ。なんとかやってみる」

大丈夫、な筈だ。シュウ達に意図に気づかれる前に、出来るだけ点を稼いで、後は本職の攻撃陣営に任せればいい。一定の差をつければ、後は白竜と帆田が一気にケリをつけるだろう。

「頼んだよ〜、司令塔」

「プレッシャーやめい」

我らがアンリミテッドシャイニングは、選手数が全部で十二。今圧をかけてきたのは、本日ベンチスタートの銀座宮である。

そして私のこのチームでの役割は、所謂司令塔、というやつだ。とは言え、ここ最近のキャプテン中心のチーム練習では殆ど出る幕はない。今日は別として。

私達MF陣が持ち場に戻ったのを確認して、牙山が腰に手を当て胸を張り、声を張り上げる。

「久々の試合だからと言って甘くみたりはしない!全力でかかれ!」

言い終わった瞬間、彼はさっと上に手をあげ、ホイッスルを鳴らすように指示。コンマ1秒程の間の後、グラウンドに機械的な笛の音が響き渡る。それを合図に、帆田が白竜へボールを蹴り出した。…試合、開始。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わらびもち | 作成日時:2020年8月18日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。