風に翔ける【究極の絆グリフォン】 (ページ5)

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「バカって…バカって…！！」

「実際バカだろお前」

「アンタにだけは言われたくないね！」

牙山の取り計らいにより、2分半の間ベンチ周りで作戦会議時間が設けられることとなった。おかげでなんとか私も試合の流れを読むことができる。

ただ、あの発言のせいで白竜からの煽りが終わる兆しが見えない。はよ作戦言えよ究極厨め。

「…ごほん。ではもう一度、“バカ”の為に作戦を伝える」

「あああ、めっちゃうざいそのドヤ顔やめろ」

「A一回黙って。…白竜、続けてよ」

「……」

態とらしく咳払いを一つ落とすと、白竜は口を開く。…牙山に似てきたねぇ、変なところ。

「…簡潔に言えば、今日はMFを中心に攻め上がる」

「…え？白竜と帆田じゃなくて？」

あの雰囲気からして、てっきり自分で指示出して自分で得点するのかと思ってた。珍しいこともあるもんだ。

「俺だって作戦くらい考えられる。…恐らくシュウ達は俺が得点を決めてくると踏んでいるだろう。その隙を突く」

「え…？ど、どうしたの白竜、まともなこと言って…」

「殴っていいか？」

雷門…いや、剣城の影響ってここまで大きいものなのだろうか。普段なら、私が丸め込まないと絶対一人で斬り込んでいくのに。

「確認は終わったか！いい加減試合を始めるぞ！」

と、手に持つメガホンを最大音量にし、怒りの形相で牙山が睨んでくる。はたとグラウンドに設置されている時計を見れば、既に五分ほどが経過していた。…やらかしちった。

「Aと白竜がしょうもない喧嘩するからこんなことに…」

「ミルって可愛い顔して辛辣だよね」

「…は？」

「ゴメンナサイ」

急いで持ち場である中央部についた私に、同じくMFであるミルが左サイドでボソッと刺々しい言葉を呟く。そういや“可愛い”は禁句だっけか…

「落ち着きなよ、今日は俺達MFが連携して点取らなきゃいけないんだから」

「そうそう、…おい新田、睨むな」

ばちばち、と目から火花を飛ばし合う私達の間に青銅と笹山が割り込んできた。

「点取るってったって…白竜みたいなFW能の指示でどうやるのさ。俺、シュート技なんて殆どないのに」

「まぁそれは確かに…Aと青銅の化身シュートで無理矢理突破が妥当じゃないか？」

「それじゃすぐに見破られてマークされちゃうよ」

これが白竜の作戦の問題点だろう。アンリミテッドシャイニングはスピード重視の選手が多い。シュートを決めるのは、基本的にFW二人か私。こんな作戦、普段は行わない。