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「ねぇ、どういうこと?行成特訓手伝うなんて」
「そう怒らないでよ、A」
「…真面目に答えてよ」
あの後シュウは森で待ってる、とだけ雷門に伝え彼等と分かれた。今はこの島で一番大きな滝の元へと向かう道中だ。
説明もそこそこにスタスタと進むシュウの背中に、疑問をぶつける。私はあくまでも、分析の為に彼等と関わったのだ。手助けなんて冗談じゃない。
「ふふ、初対面の人にあんなに嫌悪感を示すAも珍しいと思ってさ」
「だーかーら、真面目にって言ってるでしょうに」
「でもさ、終始天馬のこと睨みつけるのもどうかと思うな、僕」
「はい?」
いつの間に名前呼びになったのか。というツッコミは置いておくとして、私が松風を睨んでた?そんなつもり全然なかったんですが。
「…私ああいうタイプ苦手なの、それだけ。で、なんで雷門を手伝うの、答えてよ」
「せっかちだなぁ…さっきも言ったろ、面白かったからだよ」
「答えになってないでしょーが!」
「まぁまぁ、特訓を見てればAの分析も捗るかもよ?」
「絶対教官に怒られるって…チームゼロだって最終局面なのに」
…確かに松風の事は苦手だ。でも、それ以上に大事なのは、チームゼロ、そしてフィフスセクターのこと。
仮にもゼロが雷門に負けるようなことがあれば、私はサッカーを続ける場所を失ってしまう。…彼処になんて帰りたくない。
それだけに、飄々とした態度を示し続けるシュウが、無性に腹立たしかった。
「カイが教官には伝えてくれたみたいだし、別に問題ないよ。…そんな怖い顔しないで、気楽にいこう」
「気楽にって…!
…分かったよ、手伝えばいいんでしょ、手伝えば」
「楽しみだね、雷門がどこまで成長できるのか」
あんなに睨まれちゃ、従うしかないじゃないか。…丸め込まれた、完全に。
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作者名:わらびもち | 作成日時:2020年8月18日 23時