21 ページ22
「おい、シュウ。良いのかよ」
「コイツら僕に任せてよ」
「予定と違うじゃん…」
松風から目を離さずに言うシュウは、口元に笑みさえ浮かべていた。
「…お前がそういうなら、まぁいいさ。教官には俺から言っておく」
「あぁ」
「カイがそう言うんなら…んじゃ私も戻るね」
「Aは残るんだよ？」
「え？？」
カイはシュウの肩を叩き、チームメイトを促して森の中へと消えていく。私もそれに続こうとしたところ、凄い力で腕を引っ張られた。デジャヴ。とっても痛い、帰りたい。
「え、なんで私残るのいる意味ないじゃん」
「いいからいいから」
私の疑問を軽くあしらった後、シュウは不快感を隠さない雷門へと進み出た。
「どうしたんだ」
タイミング良く、右サイドから声がする。現れたのは円堂守、そして風丸一朗太。朝の牙山の放送でも言ってたけど、矢張りあの試合の時雷門を助けたのは円堂達だったようだ。
シュウは2人を見ると、大きく両腕を広げて全体の注意をひいた。
「聞いてくれ！この森は、君達の自由に使って良いことにする！」
「な、なんで急に！？」
「え待って、聞いてないんだけど」
松風が驚いて聞き返すも、シュウは笑顔を残したままだ。こんなに楽しそうなシュウも、久々かもしれない。…じゃない、どういうことだおい。
「君達が強くなりたいなら、手伝うよ」
「えぇっ、言ってること、さっきと違い過ぎるよ？」
「そうかな。うーん、でも…」
なんだろう、私完全に除け者じゃないか。残れって言われてこの扱いってちょっと不憫じゃないか。
唸りながら頭を悩ませ続けるシュウは、閃いたように顔を上げる。
「君達さ、面白いんだよ！」
「…本当に何言ってんの？どういうことなの？」
相手を納得させる為の言葉が、逆にここまでの混乱を生むことがあるのだろうか。困惑する雷門に、シュウは更に追い討ちをかける。
「特に、君。面白いね」
「そっか。そんなこと言われたの初めてだけど、一応ありがとうって言っとこうかな」
「なんで会話成立してんの…？」
頭を抱えたくなる衝動を抑えながら、にこやかに握手を交わす松風とシュウを見つめる。雷門はこの状況に面食らっていたり、疑いの目を向けていたり、様々だ。…なんだか剣城に凄く睨まれているような。
「えっと、後ろのマネージャーの人は…」
「あ、忘れてた」
「シュウが残れって言ったんだよね、何で相手が先に気づくの？…五月雨A、宜しく」
「宜しくね！」
「…うん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わらびもち | 作成日時：2020年8月18日 23時
