風に翔ける【究極の絆グリフォン】 (ページ12)

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松風天馬がなんとかかんとか。彼らに近づけば、そんな会話がちらほらと聞こえてきた。特別な力？的な何かだとか。…アイツ、そんな活躍してた印象ないけどなぁ。

「きょーかーん」

「お前には礼儀というものが備わっていないのか？ん？？」

「謝るのでその手に持っている石を下ろしてください」

「掌返すのもスピーディーだねぇ」

「黙んなさいなシュウ」

…ちょっと巫山戯ただけじゃないですかぁ。

和かに落ちていた石を握りつぶす牙山は、恐ろしい以外の何者でもない。断言する。さっきまで考えてた事全部吹っ飛んだ。ふざけてごめんなさい、言わないですが。

…でもこの人、いっつもいつも威張り散らしてはいるけども、しっかり実力はある。なんやかんや強いしサッカー上手いし。教官としてはいい人材だと思う。嫌いだけど。

「ねー教官、私達暇なので雷門に勝負仕掛けますねーあ、いいんですかーありがとうございますー」

「何も言ってないだろ！勝手に話を進めるんじゃない！」

「はは、あんまり怒るとシワが増えますよ？」

「口を閉じろ！！…まぁ、その考え自体は私達も提案しようとしていたところだ、特別に許可しよう。こんな悪ふざけが何度も通じると思うなよ」

「へい！」

「……」

全てを諦めたような牙山は無視、許可を貰えてほくほく顔な私は部屋へ戻ってご飯を食べることにした。提案終了した訳だし、私がこれ以上コイツと話すメリットなんてないし。

「はっくりゅー！…うっわ、何黄昏てんの？怖」

「剣城が弱かったからじゃないのか？謎の回想に入ってるから無視が一番だろ」

「…んー、晩ご飯遅れるの食堂に迷惑なんだよねぇ、やめてほしいんだよねぇ…引っ張って連れてくか」

帆田の言葉に少し考えるが、もう面倒くさいので何やらぶつぶつ呟き続ける白竜のユニフォームの襟を掴み、ぐいっと引っ張る。

「ぐぇっ…ッおい！他になんか方法あっただろ！なんでよりにもよって襟元なんだよ！」

「文句言うくらいなら、最初から“私は今考え事をしているので放っておいて下さいね”みたいな顔してぼぉっとしないでよ」

「お前ら…仲良いな」

「だろ？？」

「なんなんだよお前…」

そりゃ、なんやかんやもう4、5年、四六時中一緒にいるんだ。白竜の為に私はここにいるんだし、彼のおかげでサッカーに触れられている。それが、私の全てだから。それが当然なのだから。