第131Q ページ16
真っ暗な部屋に差し込む、廊下の明かり。
その明かりが突然遮られた。
部屋の床に差す光に、人影が映る。
その瞬間私が一番大好きな、そして、今一番聞きたくなかった声が聞こえた。
心臓が大きく跳ね、背筋が凍りつく。
恐る恐る後ろを振り向く。
そこにいたのは、廊下の明かりを背に佇む金髪の男。
逆光で表情がよく見えないのが不気味で恐ろしい。
しかし彼が...ナッシュが私をまっすぐ見つめているのはわかった。
「ぁっ...」
『ボトル、オレのだよ』
まさか彼が私物をこんな場所に置いて帰るなんて...
相当精神に堪えていたのだろうか。
沈黙が続く。
私は声を出せず、動けないままその場に立ち尽くす。
『...ッお前はいつもそうだ!!』
「っ!!」
ナッシュが突然声を荒げた。
思わず身じろぐ。
『オレと会うたびに、お前はオレの気に食わないツラしてやがる!!
初めて会った時はガラス玉みてぇな目して、やっとまともな目してきたと思ったら帰国の日の空港では寂しそうなツラして!!』
ナッシュはじりじりと私との距離を詰める。
彼から逃げるように、私は後ずさった。
怖くてたまらなかったのだ。
『昨日だってそうだ!!
店に来たお前はオレを敵意剥き出しの目で見てきやがって、そしたら今度はなんだ!!
何今にも泣きそうになってんだよ!!』
ナッシュはベンチを真横に蹴り飛ばし、上に乗っていたスクイズボトルは床に転がり中身をぶちまけた。
とうとう逃げ場をなくした私は、ロッカーに背中をぶつける。
それでも彼は止まってはくれなかった。
ナッシュは拳を大きく振り上げる。
半泣きの私はとっさに腕で顔を覆った。
殴られると、そう直感した。
バコォオン!!
ロッカーの扉が派手に凹む音。
私の顔の真横。
ナッシュの拳は、私の後ろのロッカーにめり込んでいた。
ああ...もうダメかもしれない。
怖くて仕方がない。
昨日のキャバクラの一件で、私はナッシュのことを完全に恐怖対象として見てしまっていた。
ナッシュは殴った方の腕をぐっと折り曲げ、さらに私との距離を詰める。
ガタガタと震えながら怯える私は、ついに涙が溢れた。
ポタッ...
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かんざし(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。続編楽しみにしています。 (2022年8月30日 0時) (レス) id: 52ad1983de (このIDを非表示/違反報告)
ダーカー - 本当にありがとうございました✨この作品に出会えて幸せです!!続編楽しみ‼️‼️‼️ (2021年11月6日 0時) (レス) @page32 id: 80264e36de (このIDを非表示/違反報告)
あげは - やば…おんなじ鳳蝶なんだがw (2020年8月21日 9時) (レス) id: 55916dfabc (このIDを非表示/違反報告)
鱗五雨(プロフ) - 思わず時間を忘れて読み込んじゃいました!(笑)続編まってます!! (2019年9月21日 18時) (レス) id: af73f39adb (このIDを非表示/違反報告)
月影 - 感動するいい作品でした!主人公ちゃんに感情移入してしまい、号泣しました。昔の彼のようにとナッシュを思い闘う主人公を見て私もこんな風になりたいなと思いました!これからも頑張ってください! (2019年1月20日 3時) (レス) id: 9446a19fb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Madras | 作成日時:2018年2月3日 16時