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50話 ページ4

「ライブハウスのオーナーを経由して、あなたのバンド仲間が見つかったの」

紗羽さんが見せてくれたスマホの画面を見て思わず顔をしかめた。
何だよWNTED!って。しかもなに人の写真ばらまいてくれてんの。

って待てよ。

「バンド!?俺が?」

「うん。岸田立弥君っていう後輩と、一緒に住んでたみたい」

簡単に答える紗羽さんだが、いまいちピンと来ない。天才物理学者のはずの俺がバンドなんて…

「兄貴ー!!」

アフロ頭にピンクのサングラス?眼鏡?をかけた男が俺に「兄貴」と叫びながら手を振っている。

やっぱり覚えがない。忘れてるから当然だけど、それでもやっぱり覚えがない。

「兄貴!!」

そのまま物凄い勢いでこっちに走ってきたから、思わず投げ飛ばしてしまった。
隣のAを見ると唖然として突っ立っていた。俺にじゃなくて、倒れている男に。

男は案外タフなようで、のびたかと思ったらすぐに立ち上がって、妙にキラキラした目で俺を見る。

「兄貴!あ!それに姉貴も!!」

「え?」

「ん?」

「はぁ?」

わけのわからないことを言って今度はAに向かっていく。

しまったと思ったら、Aが躊躇なく男の鳩尾を殴った。

「ぅ」

ドサリと倒れる男と、呆然として見ているしかない俺と紗羽さん。
周りにいた人達も軽く"Aに"引いていた。

「…沈んだ?」

倒れた男をAが足でつつく。
反応がないところを見ると、今度は完全に気絶してしまったらしい…けど。

腕っぷしは強いと思っていたけど、仮にも成人男性を一撃で…。
美空といいAといい、なんで俺の周りは攻撃的な女ばっかりなんだろうな。

(ん?そんなことりこいつ今、Aのことを「姉貴」って言ったよな)

俺を見て兄貴と言った後、確かにAを見て「姉貴」と言った。
どうやら何か知っているらしい。俺の過去はもちろん、Aのことでも思わぬ収穫があるかもしれない。

話を聞くにも、まずこいつに起きてもらわないと。

「これどうする?」

Aと紗羽さんに聞くと、Aが男のすぐ近くにしゃがむ。
何をするのかと思って見ていたら、容赦なく男の腕をつねった。

「っだぁ!!」

「これでいい?」

痛がる男を見ても悪びれもなくそう聞いてるAに苦笑いしかできない。
紗羽さんもそれは同じようで、俺と顔を見合わせてぎこちなく笑っている。

「やっぱり姉貴だぁ!!」

「ちょーっと待った」

また手を出しかねないAの腕を掴んで動きを封じる。
不服そうな声が聞こえたが、しばらくはその手を離せなかった。


*****

「佐藤太郎!?」

51話→←49話「知らない旧友」



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設定タグ:仮面ライダービルド , 桐生戦兎   
作品ジャンル:アニメ
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みお(プロフ) - すごく面白いです! (2022年10月25日 14時) (レス) @page10 id: 06fabb07b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:デリート | 作成日時:2018年12月26日 1時

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