第20話 ページ26
Aside……
A「はぁっ、ちょっと……待って下さい!」
部長さんは俺の手を引き廊下に出ると、そのまま早足で歩いていく。
A「まっ……て、部長さん!」
渉「あっ……」
A「わっ……ぷ」
やっと気づいてくれたかと思えば急に止まられて背中にぶつかってしまった。
渉「おや、すみません。早かったですか?」
A「それもですけど…手……」
足が早いのもそうだが、俺としては未だに繋がれた手の方が気になる。
渉「フフフ、これは失礼。痛かったですかね」
そう言うなり、部長さんはその手を優しく握り直した。
A「いや…そういう事じゃなくて…」
渉「何か問題でも?」
A「も、もしかしてですけど、何か怒ってます?」
渉「……はい、もしかしてではなく怒っています。まぁ、腹を立てる権利なんて今の私にはまだ無いんですけど」
A「会長さんの事ですか?あ、私なんかがベタベタ触ってしまってすみませんっけど決して私から抱きついた訳では…」
俺はこの間来たばかりの駆け出しプロデューサーだ。そんな奴がアイドル科の、ましてや生徒会長なんかに、本来触れていいはずがない。
A(大失態だ……)
手を繋いでいる現状を棚に上げ、後悔していると上からため息が降ってきた。
渉「そんな事は分かっています。英智が……貴方に触れたのが嫌だったんですよ」
A「……………………。ごめんなさい、何でですか?」
それを嫌がる理由が俺には分からない。まさか会長…もとい英智さんの事が好きなのか?
A(それは無いか…………)
A「っそれよりも会長の所へ戻らなきゃ……」
あの教室から抜け出せた事ですっかり忘れ掛けていたが、俺は未だに英智さんに脅されたままだ。慌てて踵を返すと勢いよく手を引かれた。
A(まだ握られてたんだった…………)
渉「戻る必要ありませんよ。色々と脅すような事を言われたかもしれませんが、見たところあれは全部『嘘』『演技』です。英智も今頃、少しは反省しているでしょう。誰も、貴方に危害を加えようなんて、思っていませんよ。」
A「……そっそんな訳ないっ、」
だって部長さんは、英智さんが調べた俺の過去の事をまだ知らない。英智さんとちゃんと話し合わなきゃ部長さんにだって知られて…………
A(幻滅されるかもしれないんだ…)
そう考えた瞬間、その事が何より恐ろしく感じて、血の気が引いていくのが分かった。
A「……戻ります」
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彩(プロフ) - wはい,頑張ってください (2020年8月27日 21時) (レス) id: 7ef4eb4ee1 (このIDを非表示/違反報告)
洋燈(らんぷ)(プロフ) - 彩さん» コメントありがとうございます♪よく眠れているようで良かったです笑大変励みになりました。頑張らせて頂きます! (2020年8月27日 8時) (レス) id: 51b01a283f (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - コメ失礼します!!失礼ですが,続きが気にかなりすぎて夜しか寝れないので早く書いてください!! (2020年8月26日 7時) (レス) id: 7ef4eb4ee1 (このIDを非表示/違反報告)
洋燈(らんぷ)(プロフ) - きららさん» コメントありがとうございます!私も個人的に俺っ子大好きなのでそう言って貰えて嬉しいです!!!更新マチマチになってしまっていますが頑張らせて頂きます♪ (2020年5月17日 3時) (レス) id: 51b01a283f (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - コメ失礼します…!夢主ちゃん俺っ子なのとか鈍感なの凄く好きです!体調に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月17日 3時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:洋燈 | 作成日時:2019年7月27日 23時