斜陽2【中原中也】

第53話 ページ3

貴女side






あれから



…中也さんに部下と云われてから




私と彼は本物の上下関係になった




二年が経っていた





貴女「…中原幹部。本日の書類です」


中原「あァ。そこ置いとけ」






目線の先の机に書類を置く



ここはポートマフィア本部の一室





中原「ん…おい、太宰」



貴女「はい。」



中原「どこ行くんだ」



貴女「首領の所です」



中原「呼び出しか。

…二年前はあんなに嫌がってたのに変わったな」




柔らかく笑った彼からすぐ視線をきり止めた足を進める




貴女「…お互いに。」





＿＿＿＿



＿





貴女「首領。太宰です」



森「入りなさい」





相変わらずの椅子と


今年から違うのは





ｴﾘｽ「A！」



貴女「エリス嬢。」



森「いやあ、こんなにエリスちゃんが君に懐くのならもっと早く会わせれば良かったよ」





そう



エリス嬢は突然私の前に現れた



他のマフィア達は知っていたが私だけが知らなかった





ｴﾘｽ「そうよ、リンタロウ」


貴女「そもそも何故です？」


森「いやあ、16歳の君にエリスちゃんを可愛がる私を見せたら色々誤解されると思ってねぇ…ｱﾊﾊ」



貴女「誤解？」



森「私が君を優遇するのが幼女だからとか？

そんな噂が出回ってしまえば私は殺されるからね」



貴女「そんな、誰に」



森「そうだね、例えば…中也くんとか？」



貴女「……………有り得ません」



その名を聞くと一瞬心臓が止まる



森「じゃあ太宰くん？」



貴女「そうなる前に私が太宰を捉えます」



森「これは心強いねぇ」






そう



私は変わった




首領に忠誠を誓うほどに。





貴女「ところでお呼び出しの理由は」



森「あぁ、そうだった。


…最近どうだい？」



貴女「何がです？」




楽しそうに絵を描くエリス嬢を目で追う




森「中也くんとだよ」



貴女「………………質問の意図が分かり兼ねます」



森「本当に分からないかい？」



貴女「私と中原幹部は＿＿」



森「それだよ。」



貴女「…それとは」



森「君達はかつて親しみを込めた呼び方だった。


それが今では上司と部下だ」



貴女「……………最初から上司と部下です。」




森「違うと思うよ。」



貴女「何故です」



森「あれだけ彼に懐いていた君が…


言い方を変えよう。


彼にのみ忠誠心があった君が何故こうなった？」



貴女「………結果、首領にとっては良い傾向では」

第54話→←第52話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す