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廿肆頁 ページ25

あの後、修治は電子遊戯場から蘭堂宅へと迷子になり乍らもなんとか移動し、合流した太宰と共に造船所跡地に来ていた。


「おお、この飾り紐、ながーい。奮発して買っただけあるなあ。ねえ、兄さん端持って………やっぱいい、蘭堂さん持って」


上機嫌で飾りつけをしていた太宰が振り向き、後ろに居た修治に手伝いを頼もうとして、考え直した。

この風船を物珍しそうに見て、風で少し風船が揺れただけで固まる者に手伝いを頼んだらどうなるか。

紐が千切れる。確実に。


「おー?……っっっ!!!?!???!おさ、治!!ぱーんて!!!ぱーんてなった!!!!しんだ!!!??!?」


見ると、修治の手には何処からか拾ってきたのか錆びた釘が握られていた。

どうやらそれで風船をつついたらしい。


「はーいはい。死んでない死んでない。割れただけだよ。兄さんその釘捨ててね危ないから」


「ん…わかった」


「……その、前から気になっていたのだが…」


風船が割れて、若干涙目になっている修治を少し見てから問おうか躊躇う。


「何?蘭堂さん」


「……修治さんを私が初めて見たのは首領が先代首領の専属医となった時です。つまり、3年程前……」


ちら、と太宰の方を見ると手を止め、うつむいていた。


「いいよ続けて」


修治は釘を外に捨てに行っていて、この部屋には居ない。


「………彼が全く背が伸びず、更に3年前から髪も、顔立ちも、何もかも変わっていないのはどうしてなのでしょうか」


しん、と静かになる。

広いとは云えない部屋に二人人間が居るのに、まるで誰も居ないようだ。


「………知らないよ」


「……え」


「知らないよ、僕も。多分森さんも兄さんの背が伸びない理由も髪が変わらない理由も知らない。兄さんに直接聞いても成長期が来ないだけだって云われるし」


酷くつまらなさそうにそう云い、太宰はまた、楽しそうに飾りつけを再開した。


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ロト - よみさん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただけてとても光栄です。続きが気になる作品だったなんて本当に嬉しい誉め言葉です。ありがとうございます! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
よみ - 受験頑張って下さいね。とても、面白くて、続きが気になる作品だと思っているので、早く二月になれ!っと祈りながら、更新お待ちしております。 (2020年1月6日 17時) (レス) id: 587f0ad974 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ロト | 作成日時:2019年8月1日 18時

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