好きの定理。(過去編3) ページ24
それから私はよく太宰さんと話すようになった。
中也さんを忘れる為に。
太宰さんを好きになる為に。
初めは、そんな最低な理由だった。
けれど、私は次第に太宰さんを純粋な片思い相手として見るようになった。
太宰さんの笑った顔。
太宰さんの困った顔。
太宰さんの嬉しそうな、でも何処か悲しそうな顔。
話し方。
相槌の仕方。
私が任務で失敗した時のフォローの仕方。
全てが愛しくなっていった。
それはもう、中也さんを忘れてしまう程に。
だんだん、中也さんともまともに話せるようになった。
「太宰さんは、本当に優しいですね!私の愚痴ばっかり聞いてくれて…太宰さんもたまには愚痴言ってくださいね!」
私は、何時ものBARのカウンター席で横にいる彼に笑いかける。
彼は少し困ったように笑う。
太宰「大丈夫だよ。私は君の話を聞くのが楽しいんだ。」
ああ。この人はなんて優しい人なんだろう。
この笑顔を私だけに向けて欲しい。
・
・
この人の恋人になりたい。
「太宰さん……………
好きです。」
口から勝手に出ていたその言葉。
私は、声にした事を後悔した。
彼の笑顔に惑わされ、騙され、操られていただけなのに。
私は引っ掛かってしまった。
彼の罠に。
彼が私に振り向く筈がないというのに。
「…………ごめんなさい。やっぱり何でもな、」
太宰「私も好きだよ。Aの事。」
彼の口から思わぬ言葉が飛び出た。
「…………へ?」
気の抜けた声を出す私をクスリと笑う彼。
太宰「ずっと、初めてこのBARで会う前から、君の事いいなって思ってたんだよ。中也の隣じゃなくて、私の隣に居てくれればってずっと思ってた。」
太宰さんは言った。
太宰さんは此処で会うずっと前、私がポートマフィアに来た時から私の事を気にかけてくれていた事を。
中也さんと話す振りをして、私を見てくれていた事を。
なんとか私がこのBARにいる事を割り出して、あたかも偶然会ったような振りをして私に近づいた事を。
私に好きになって貰えるように、努力してくれていた事を。
私だけが好きなんだと思っていた。
この気持ちは、私だけが思い描いた暴走何だってずっと思ってた。
初めて太宰さんと心の中の目が繋がった気がした。
それから浮気に気づいたのは、数ヶ月程先の事。
因果応報なんてくそくらえ。→←歴代最年少幹部と私。(過去編2)
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太宰亜里沙(プロフ) - 魔夢 (まゆ)さん» 太宰さんが終われば更新します! (2019年9月9日 21時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
魔夢 (まゆ) - すみません泣きました (2019年9月6日 6時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
魔夢 (まゆ) - 中也 中也 中也 中也 中也 中也 中也 中也 中也 (2019年9月5日 22時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
魔夢 (まゆ) - ああああああ////おもろいよーーーーー^ (2019年9月5日 21時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
魔夢 - 他の人もだしてあげてください…………ね? (2019年9月5日 21時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:太宰亜里沙 | 作成日時:2018年3月26日 22時