ハートのトランプは幸せな夢を見る (ページ7)

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❤不安だけど背中を押すよページ7

ジャックside

部屋で書類を書いていた時、それは突然鳴り出した。
プルルルッと鳴る電話の音。ポンッと現れるハートの受話器を手にとって「はーい？」なんて声を出したら、『ジャックか』ってエースの声が聞こえた。

「やぁエース！どうしたの？」
『実は今マルフィを探すために彼の世界に来てるんだけど…ちょっと初めての場所でどうしたらいいのか分からな「は！？マルフィの世界に居るの！？何で！？」り、理由はその……』

び、びっくりした～…！何で突然マルフィの故郷に居るのか全く分からなかった…！
話を聞けばマルフィのマスター直々のご指名で、いつの間にかそっちの世界に転送されちゃったらしい。人の魔法に自分の魔法を上乗せして世界に引きずり込むなんて、さすがはマスターといったところだ。

『確かジャックは一回来たことあるって前話してたよね？』
「あー……。うん、マルフィに誘われて良い赤色を出す塗料用の木の実を採りに行った時にね」

懐かしいなぁ、あの時は僕も新しい僕になったばかりでまだちょっと皆と馴染めてなかったっけ。見かねたマルフィが話を持ちかけてくれて、凄い楽しかったなぁ…

『その時にさ、マルフィからなにか聞いてない？コレは触っちゃ駄目とか…』
「ん～……」

言われた気がする。何だったっけなぁ……、………あ。

「茨の棘には絶対触るなって言われたよ。確か眠りの呪いが込められているから、一刺しで永遠にお休みだってさ」
『他は？』
「あとは……定期的に動く茨もあるから気をつけろって」

マルフィは樹海にとても詳しかった。動く茨の場所も理解していて、楽に進めた記憶がある。

『そっか。…ありがとう。マルフィを見つけたらすぐ戻るよ』
「うん。気をつけてねエース。また何かあったら連絡して」

プツリと切れた電話を消して、僕は息を吐く。心配だ…とっても心配。だってあの世界の樹海はとても怖くて危険なんだよ？

「"素人が入ったらまず出られないだろうね"」

そんなことを笑顔で言うマルフィの顔が浮かんで、「笑い事じゃないよ～…」なんて声を漏らした。
……とにかく、何かあったらすぐ動けるようにしておかないと。あっちでエースが頑張ってるんだから、それぐらいはね。

「(頑張れ、エース…！)」