🖤消えた彼を探して ページ6
エースside
結果を言うと、マレフィセント様にもよく分からないことらしい。昨日の晩、突然魔力を感じ取って帰ってきたことは確認できたものの、その後何処に行ったのか分からないと彼女は告げた。
「"近くの森でこの手鏡だけが落ちていた。破損は無いが、お前の知る通りあの鴉がこれを手放すことなどあり得ない。…この付近に居るのは確かではあるのだが、まだ行方すら掴めていないのが現状だ"」
『そう、ですか……』
マスターにも分からないのか…。ぎゅっと手を握りしめて俯くと、鏡の向こうから「"ふむ…"」と声が聞こえた。
「"お前は空間を操る魔法が得意だと聞いているが、本当か?"」
『…!は、はい…』
「"ならば、こちらの世界に来るが良い。お前の所の女王には私から言っておこう"」
……え…。
『で、ですがっ、私の魔法でも彼を見つけられるかどうか…っ!』
「"その羽根を持ってこちらに来ると良い。自身の一部には命が宿る、きっとお前を導いてくれるはずだ"」
羽根…?…マルフィから貰った、羽根ペンを…?
机に置かれた羽根ペンを手にする。前見た時より何故か羽根には輝きが無くて、それ以上に羽根が痛んだようにがさついていた。こんな状態になったことなんてない、昨日まではとても綺麗な羽根だったのに……
「"彼は私の愛しい鴉だ。首を刎ねでもしたら、その体に永遠の眠りが訪れると思え"」
鏡越しに手が伸ばされる。ハートの鏡全体が緑色の光に包まれて、あまりの眩しさに僕は思わず目を瞑った。
『…うわっ!?』
突然の浮遊感に驚いて、ドサッと僕は地面に尻餅をつく。土と植物の匂いがする…
『…!こ、此処何処…!?』
目を開けると、そこは茨があちこちに絡みつく巨大な樹海だった。茨の隙間から薄暗い緑の空が見えて、緑色の月の光を森の中に届ける。ちょっと神秘的な光景に見とれていると、カサ…と僕の手に何かが触れた。
羽根ペンだ。マルフィの羽根ペンがふわりと僕の手に寄り添う。僕はそのペンを取って、しっかりと立ち上がった。
『…マレフィセント様にああ言われちゃったらなぁ』
探すしか無いよね、絶対に。
カァ、とカラスの鳴き声を聞きながら、僕は不気味で神秘的な樹海の中を歩いて行った…。
❤不安だけど背中を押すよ→←🖤告げられた言葉は不安そのものだった
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月31日 1時