愛吐 9 ページ11
普段しっかりしているAのはけ口は今しかないのだ。情が深く努力と実力で結果を積み上げてきた彼女はこの職場で誰よりも人間性を信頼されている。
そんな彼女でさえも弱音は吐くのだ。
心を許した数人の前では________
『らざい幹部が抜けてもうすぐ四年…無理ぃ』
「貴様は太宰さんのことが余程好きなようだな」
『それは芥川君だって同じでしょ〜?』
太宰が抜けた時もそうだ。誰よりも一番ショックを受けていたのは他でもないAだった。
しかしAは一見プライドも何もない小動物のように見えるが仕事に対する熱意と自分のプライドは人一倍高かったAはさっさと仕事に復帰した。
芥川は満月を眺める。明日は人虎捕獲作戦の結構日。
因みにAはこの件について現時点深く関与していない。強いて言うならば駒の管理くらいで_______
『……ん』
芥川がふとAを見やると机に突っ伏して寝ていた。
呆れながらも会計を済ませると送迎の樋口を呼んだ。
横浜の闇は水で薄めたように浅くこれから時間が経つにつれて深くまで染まっていくだろう。
何処かの倉庫で響く白虎の鳴き声が其れを暗示していた。
__________
今日の出勤は9時。今日の出勤は9時。
前日にそう強く暗示をかけておくことでその時間に目覚められるような都合のいい身体になって来た。
それもこれも無茶な職場のおかげ。
甘めのチャイティーの粉をマグカップに入れてお湯を注ぎ込み其れを片手に新聞を読みニュースを見る。
仕事はもう始まっているも同然で時事問題に興味を持ち全世界の問題を網羅することで視野の広さは圧倒的に変わる。
テレビ画面、新聞の一面にも大きく印刷されている文字”人喰い虎”。
(今日は作戦決行日か…)
作戦書を覗かせて貰った限りだが今日は接触のみで後にも幾つもの作戦を用意しているのだろう。
結局は過程ではなく結果を重んじる今の職場は結果まで全て見越し、その為の最適解を見つけられる人がトップに立っているのだからそりゃ”横浜の二大異能組織”なんて呼ばれるのだろう。
車を運転しながら遠征中の彼と早朝の確認電話を行い、職場に着くと私を見た人は順々に頭を下げる。
(矢っ張り慣れないなぁ…これ…)
上の階まで昇降機を使い執務室に着くと終わりの見えない膨大な量の仕事に取り掛かる。
一連の書類作業、報告、電話応答を終えると芥川君が帰って来た。
彼は私にこう告げた。
”太宰さんがいた”
…と。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時