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百六十四 ページ21

―――まあ単純に考えて走るから彼女を置き去りにしないように手を繋いで来たのだろうけど。

そう考えられたら良かったんだけど、私は顔にこそ出さない様にしていたが内心穏やかではなかった。

二組に分かれての試合となり、二番組と原田さんの組、八番組と斎藤さん、雪村さんの組ができた。

私はとても平助さんと雪村さんのいる組に入る気にもなれず、二番組側への参加を志願した。
人数的には丁度い良いが、平助さんの組に入らないことに皆少し驚いていた。
・・・遅れて来た三人の登場を一緒に目撃していた原田さんを除いて。

組を分けると、今度はその組の中で将軍を一人決めることになり、満場一致で私と雪村さんに決まった。
兵士役は何度雪玉を当てられても良いが、将軍役は一度当たれば終わり。相手の陣営の将軍を打ち取った(雪を当てた)ら勝ちという単純な決まりだ。


ある程度の説明と作戦会議が終わると、皆屯所のあちこちへと散らばり、審判役に来てくれた井上さんの始めの合図により試合が始まった。


開始早々平助さんは屯所中を駆け回り、持ち前の身体能力を生かして視界に入った隊士たちを次々と仕留めていった。・・・雪玉の威力が強く、皆戦闘不能になっているのだ。

打ち漏らした隊士は共に駆ける斎藤さんが仕留めるといった見事な連携っぷり。
おそらく、雪村さんは精鋭の隊士が護衛している。

一方の私には護衛はおらず、布団の敷布を羽織り一人で木の上に避難し偵察していた。

こちらの作戦は私が身を隠して雪村さんの居場所を探り、兵士役は動き回り、私の場所を悟らせないように努めるといったもの。


―――だが、現実はそう甘くはなかった。

木の上で待機中、たまたま私の下を雪村さんと護衛三名の一行が通りかかった。
このまま真下を通りそうだと確信した私は、雪村さんを打ち取るため近くの枝に積もる雪を取った。

その時、私に向かって雪玉が飛んできたのだ。

その雪玉を避けると同時に木の上から飛び降りると、少し離れたところに漆黒の着物を着た人が立っている。・・・私に雪玉を投げてきたのは斎藤さんだ。

分が悪いと判断した私はすぐさま走り出し、庭の木々の隙間に身を滑らした。


・・・撒くことができたのは幸いだが、最大の好機を逃してしまった。

安堵と落胆のため息をこぼすと、ふと周囲の音が消えていることに気づく。

試合中だというのに上がった私の息遣いしか聞こえないのだ。

混乱する私の肩に、不意に何者かの手が添えられた。

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設定タグ:薄桜鬼 , 藤堂平助
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いちご牛乳二世(プロフ) - 本当に申し訳ないです!お返事いつでも待っております! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 私自身あまり裏語薄桜鬼に詳しくないのもありますが岡田似蔵さんが気になりすぎて岡田似蔵さんオチが見たいなと思ってしまいまして…(苦笑) (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 最後まで読ませて頂きました!とても良かったです!今は未だ正式に完結はしていないのでしょうか?していらっしゃらないのであれば唐突なのですが完結致しましたら基本的な設定はそのままのこの話とは別物として岡田似蔵中心の物語が見たいです! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - まんささん» お久しぶりです(^-^)私も喉風邪ひいてしまって、今は落ち着いたんですけど、一時期熱も出てしまいました(T_T)そうですね、気をつけましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 沙夜さん» またまたお久しぶりです!最近喉風邪をひいてしまいました(汗) お互い体には気を付けていきましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: 4838eaea5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんさ | 作成日時:2017年1月3日 19時

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