百六十三 ページ20
朝餉の準備が終わり、皆を呼びに行き、朝餉を摂り、一通り片付けが終わった頃のこと。
沖田さんはこのまま巡察に行くそうで、着替えなど準備を手伝って門まで見送った。
・・・そんな私の背に声をかける者がいた。
「A!もう朝の仕事は終わったか?」
「あれ、平助さん?・・・これから隊士さんたちと稽古じゃなかったっけ?」
「ああ、少し時間ずらしてもらっててさ。さっき左之さんや新八っつあん、千鶴と雪合戦してたんだけどさ、やっぱAも一緒に交えてやりたいって思って!」
「うーん・・・気持ちは嬉しいけど、土方さんに怒られるんじゃない?」
「うぐっ、やっぱお前もそう思うか・・・」
平助さんは目に見えて落ち込んだ様な素振りをした。
―――おそらく、雪村さんあたりにも相談して同じことを言われたんだろうな。
ちょっとだけ可哀想に感じ、私は一つ提案をしてみることにした。
「五人で、じゃなくて、みんなでやれば良いんじゃないかな?」
「・・・みんなで?」
「そう。今日は二番組と八番組が稽古だよね?この二組の隊士全員で、屯所内を捕り物の現場に見立てて雪合戦をするの!走り回ったり、周囲に気を配る必要があるからためになると思うし」
「おお!いいなそれ!!―――じゃ、さっそくみんなを集めてくるから、Aは動きやすい格好になって境内のとこで待っててくれ」
私の提案にすぐさま賛同の姿勢を見せた平助さんは、私に指示を出すなりどこぞへとかけて行ってしまった。・・・もう少し土方さんに見つからない配慮の仕方とか考えた方が良かったと思うんだけど。
少しして。
以前角谷に行った時に着ただけで出番もなく、箪笥の肥やしとなっていた袴姿に着替えると、襟巻をいつもよりぐるぐるに巻いて防寒に徹する。
本当は温石(石を火鉢等で熱した懐炉)が用意できれば良かったけど、時間も無いし自分だけ温まるのも忍びない。
約束の場所に行くと、雪村さんと平助さんを除く全員が待っていた。
私の姿に気が付いた原田さんはこっちへ来い、とばかりに手招きをした。
「原田さん、お待たせしました。・・・あとは平助さんと雪村さんですか?」
「ああ。もう一人組長格の奴を連れて来るとか言ってたな」
「へー・・・あ、来た」
少し離れた所から走って来る平助さんの姿が目に入った。
一緒にいるのは誘われて来た斎藤さんと雪村さん。
―――その雪村さんと平助さんの手は、指を絡めてしっかりと繋がれていた。
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いちご牛乳二世(プロフ) - 本当に申し訳ないです!お返事いつでも待っております! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 私自身あまり裏語薄桜鬼に詳しくないのもありますが岡田似蔵さんが気になりすぎて岡田似蔵さんオチが見たいなと思ってしまいまして…(苦笑) (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 最後まで読ませて頂きました!とても良かったです!今は未だ正式に完結はしていないのでしょうか?していらっしゃらないのであれば唐突なのですが完結致しましたら基本的な設定はそのままのこの話とは別物として岡田似蔵中心の物語が見たいです! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - まんささん» お久しぶりです(^-^)私も喉風邪ひいてしまって、今は落ち着いたんですけど、一時期熱も出てしまいました(T_T)そうですね、気をつけましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 沙夜さん» またまたお久しぶりです!最近喉風邪をひいてしまいました(汗) お互い体には気を付けていきましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: 4838eaea5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まんさ | 作成日時:2017年1月3日 19時