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百六十二 ページ19

「はっ、はあっ、はっはぁっ!」


屯所の静かな庭に、私の乱れた息遣いと雪を踏みしめる音が響く。

―――ここまで来れば、もう追っ手は来ないだろうか。


一度足を止めて辺りを見回す。
小鳥たちがさえずる声以外に聞こえるものもなく、屯所の庭にいるというのに屋敷内から人の気配は感じ取れない。

―――やはり、皆やられてしまったのだ。





時は二刻程前に遡る。

目覚めてすぐに庭に積もった雪を見て大興奮した平助さんと私は急いで着替えを済ませ、真っ白な庭へと飛び出した。

まだ誰も足を踏み入れていないまっさらな新雪に足跡をつけはしゃぐ私たちに、裸に近い格好をした二人の男性が声をかけてきた。


「ようお二人さん。朝から楽しそうだな」

「平助、朝から別嬪さんを独り占めとはやるじゃねえか!」


―――原田さんと永倉さんだ。

二人に声をかけられ、はしゃいでいたことが急に恥ずかしくなった私はうっすら赤くなった顔を隠すため、思わず下を向いた。


そんな私をよそに三人の会話は進んでいき、いつの間にやら私と雪村さんを含む五人で雪合戦をやる流れになっていた。


「―――ってことだけと良いよな、A!」

「いやいや、私今日は朝餉の担当だから!・・・申し訳ないけど、四人でやってて」

「そういや、今日はAが当番だったか。まあ、千鶴入れて四人なら人数もきりが良いしな。―――残念だったな、平助」

「からかうなよ、左之さん!」

「じゃあ、また朝餉の時ね」


三人に挨拶をすると、私は沖田さんの部屋へと向かった。

―――今日は沖田さんと当番なのである。

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設定タグ:薄桜鬼 , 藤堂平助
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いちご牛乳二世(プロフ) - 本当に申し訳ないです!お返事いつでも待っております! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 私自身あまり裏語薄桜鬼に詳しくないのもありますが岡田似蔵さんが気になりすぎて岡田似蔵さんオチが見たいなと思ってしまいまして…(苦笑) (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 最後まで読ませて頂きました!とても良かったです!今は未だ正式に完結はしていないのでしょうか?していらっしゃらないのであれば唐突なのですが完結致しましたら基本的な設定はそのままのこの話とは別物として岡田似蔵中心の物語が見たいです! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - まんささん» お久しぶりです(^-^)私も喉風邪ひいてしまって、今は落ち着いたんですけど、一時期熱も出てしまいました(T_T)そうですね、気をつけましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 沙夜さん» またまたお久しぶりです!最近喉風邪をひいてしまいました(汗) お互い体には気を付けていきましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: 4838eaea5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんさ | 作成日時:2017年1月3日 19時

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