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百五十九 ページ16

あれから四半刻ほど歩き、あと少し歩けば屯所につく位置までやって来た。
気づけば辺りは橙色に染まり、東側の空はずいぶんと青くなってきている。


―――ここまでずっと会話はないが、不思議とそれを気まずいとは感じなかった。


黙っていても風間さんのことだし、変な所に連れていかれるという心配はしていなかったが、こうも何事もないと拍子抜けする。

風間さんはというと、もうすぐ険悪な関係である新選組の屯所に着くというのに、特に警戒した様子もなく散歩でもするかのように私の数歩先を歩いていく。

あとちょっとでお別れと思うと、なんだか会話をしないのももったいない気がして、話題を探す。


「風間さんは、何で雪村さんを狙うんですか?」

「・・・純血の女鬼は貴重だからだ」

「純血の鬼を絶やさないように、想い合っているわけでもない雪村さんに自分の子供を産ませるんですか?」

「そうだ」


―――なんでこんな暗い話題を出したんだ私は!!

そんな事を思いながらも私の口は独立したかのように勝手に言葉を紡ぐ。


「風間さんは好きな人はいないんですか?普通、娶るならそういう人を選ぶと思うんですけど」

「・・・純血の鬼として、この血を絶やさぬよう努めるのは当然のことだ」

「―――いるんですね、好きな人」


私の指摘に、風間さんは足を止めてこちらを振り返った。

風間さんは家の影の中に、私は日向にいるため彼の表情がよく見えないが、あまり穏やかな顔をしていないのは雰囲気でわかる。


「お前には、関係のないことだ」

「ええ、たしかに」


暦では春にあたるが、まだまだ吹く風は真冬のもの。
身震いしそうになるのを堪えながら、私は風間さんに向けて口を開いた。


「―――私の父は、純血の鬼なんだそうです。でも人間である母に恋をして、その間に子を生し、愛に生きた。一族から追放されたそうですけど、幸せに暮らしています。・・・風間さんにもそういう未来をとれるんだってこと、覚えておいてください」

「・・・お前は聡い女だが、疎いせいで台無しだな」

「え?」


風間さんの声は今までに聞いたこともないくらいに明るい色を帯びていた。
いまだその表情を読み取ることはできないが、怒っているようには見えない。


「相手が俺だからまだいいが、そういった話は他の男にはしない方がいい。―――変な勘違いをさせるからな」


そう言うと風間さんは歩き出した。

屯所に着くまでの間、私の頭には混乱の嵐が吹き荒れていた。

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設定タグ:薄桜鬼 , 藤堂平助
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いちご牛乳二世(プロフ) - 本当に申し訳ないです!お返事いつでも待っております! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 私自身あまり裏語薄桜鬼に詳しくないのもありますが岡田似蔵さんが気になりすぎて岡田似蔵さんオチが見たいなと思ってしまいまして…(苦笑) (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳二世(プロフ) - 最後まで読ませて頂きました!とても良かったです!今は未だ正式に完結はしていないのでしょうか?していらっしゃらないのであれば唐突なのですが完結致しましたら基本的な設定はそのままのこの話とは別物として岡田似蔵中心の物語が見たいです! (2020年12月7日 4時) (レス) id: 7192c58253 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - まんささん» お久しぶりです(^-^)私も喉風邪ひいてしまって、今は落ち着いたんですけど、一時期熱も出てしまいました(T_T)そうですね、気をつけましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 沙夜さん» またまたお久しぶりです!最近喉風邪をひいてしまいました(汗) お互い体には気を付けていきましょうね(><) (2017年10月14日 17時) (レス) id: 4838eaea5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんさ | 作成日時:2017年1月3日 19時

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