・ ページ44
・
「だって、私の方がずっとずっと可愛いし、
私の方が友達も多いし、明るいし、
センラくんのこと大好きだもん。
なんであの子なの、なんで私じゃないの…?」
「…自分、なんなん?」
自分で思っていたよりも、唸るような低い声が出た。
拳を握り固める。
そうでもしないと、どうにかなりそうだ。
「センラくんおかしいよ!
あんな、地味な子、センラくんに釣り合わないよ。
ずっと1人で絵ばっか描いて、根暗な感じじゃん」
「もうええよ」
「なんで、あの子なの、あの子のどこが好きなの」
「___ええ加減にせえよ!!」
はー、はー、息があらい。
頭がバチバチと変な音をたてて、無性にイライラする。
深呼吸する。
だめだ、全然怒りの波が引かない。
涙を目にいっぱいためた瞳をみていると、気が狂いそうになる。
最悪や、泣かせたし、だる。
「もう、ええから。
あんたの顔みてたらイラついてきた。
帰って。」
「〜っ、センラくん、サイテー!」
俺の頬を叩こうと飛んできた華奢な腕をつかむ。
もう止まれなかった。
自分の中で幼稚な大人になりきれない心が顔を出す。
「いたっ、センラくん、なにすんの」
「お前、ほんまにええ加減にせえよ。
あの子のことなーんにも知らんくせして、ようバカにしてくれたな。
___お願いやから、帰って。
俺女の子殴りたくないから。」
「…………」
「俺とあの子に関わらんといて。」
振り向かずに立ち去る。
最後に見たあいつの顔は、涙でぐしゃぐしゃだった。
もう関係ないけど。
411人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - 結月。さん» 返信遅れて申し訳ございません!!めちゃくちゃ嬉しいです……もしよかったらどんどんリクエストもお願いします! (5月13日 21時) (レス) id: 98422f84d7 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - 初めまして、弥生様のお話を全て夢中になって読んでおりました…。凄く大好きなお話ばかりで、読んでいてとても幸せになりました;;素敵なお話を書いて下さってありがとうございます。『一般人シリーズ』もこちらの短編小説も大好きです。これから応援しております◎ (2023年5月2日 13時) (レス) id: 5fcf3e0281 (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - 紫陽花さん» 返信遅くなってすみません!!ぜひ書かせて頂きたいです!素敵な設定をありがとうございます! (2023年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 98422f84d7 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - urtさんとsrr先生が話してて、夢主の元カレの浮気(もしくはどこからが浮気なのか)について話してて、それをたまたま聞いた夢主がurtが浮気してる(もしくはしよう)と勘違いしてるシチュを見たいです。 (2022年11月20日 1時) (レス) @page39 id: a2f685055b (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - 未夜さん» めっっちゃ嬉しいですありがとうございます………個人的に坂田さんの話は満足の出来だったというかこの話を思いついてから「シリーズにしちゃおう!」となったのでそう言ってくださるとめちゃくちゃ励みになります… (2022年3月19日 0時) (レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:弥生2nd@夢見月 | 作成日時:2020年6月6日 23時