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そんなに、変なのかな。
そっと自分の衣装に目を向ける。
スリムなデザインだったドレスはチュールをふんだんに使ったおかげでふんわりとしたシルエットになっている。
どれだけ材料費が余分にかかったのかと思うと恐ろしい。
浦田の衣装と少し似せてはいるものの、似ているのはシルエットだけで色も細部のデザインも全然違う。
浦田の代役を演じるのにこのドレスでいいのか、と聞いたところ何も考えていなかったのか思いっきり目を逸らされた。
クライマックスが不安でしかない。
「あーもう、これだからバカップルは…
ちょっと俺ら抜けるから2人でちょっと慣れとけよ!
お前らそんなに照れた状態じゃクライマックス撮影できねぇだろ」
がやがやとみんなが教室を出ていく。
『え、あっ、2人?!
ちょ、置いてかないでよ!!』
「大丈夫、覗き見なんてせんから2人でごゆっくり♡」
「まーしー頑張れよな」
浦田が教室を出たのを最後にして、教室のドアがぴしゃりと閉まった。
クラスメイトの足音と話し声が遠ざかって聞こえなくなったあと、志麻はでっかいため息をついてしゃがみこんだ。
「あー、俺ダッサ……」
綺麗にセットされた髪をぐしゃぐしゃとかき回すと、いつもからは考えられないほど小さな声でぼそぼそと喋り出す。
「ほんまは、可愛いと思ってたよ。
普通の役の時からかわええと思ってたけど、なかなか言われへんくて、あ、もちろんシンデレラの衣装も可愛ええし、似合ってるで。
違うクラスのやつに色々言われたのも腹立つ。
でも、こんなこと言ったら面倒くさがられるかなと思ったら言われへんくなって…
…………ごめん、素直にぱっと言われへんくて。
でも、ほんまにかわええ…」
可愛い可愛いと連呼されて、顔が赤くなる。
そういうのが、反則なんだってば。
『私こそ、ごめん。
でも、ちゃんと言ってくれて嬉しい。
私も最初はびっくりしたんだもん。
そりゃ、志麻もびっくりして当然だよね。
いつもと違いすぎてびっくりしちゃったもん』
ほんのり熱を持った顔で微笑むと、いつも通りのサディスティックな微笑が返ってきた。
「へえ、顔赤いで?
照れてんのけ?」
『またそうやって!
さっきまでデレデレのおばかちゃんだった癖に!!!』
「そのおばかちゃんに照れてたんは誰やったっけ?」
『知らない!』
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弥生2nd@夢見月(プロフ) - 結月。さん» 返信遅れて申し訳ございません!!めちゃくちゃ嬉しいです……もしよかったらどんどんリクエストもお願いします! (5月13日 21時) (レス) id: 98422f84d7 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - 初めまして、弥生様のお話を全て夢中になって読んでおりました…。凄く大好きなお話ばかりで、読んでいてとても幸せになりました;;素敵なお話を書いて下さってありがとうございます。『一般人シリーズ』もこちらの短編小説も大好きです。これから応援しております◎ (2023年5月2日 13時) (レス) id: 5fcf3e0281 (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - 紫陽花さん» 返信遅くなってすみません!!ぜひ書かせて頂きたいです!素敵な設定をありがとうございます! (2023年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 98422f84d7 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - urtさんとsrr先生が話してて、夢主の元カレの浮気(もしくはどこからが浮気なのか)について話してて、それをたまたま聞いた夢主がurtが浮気してる(もしくはしよう)と勘違いしてるシチュを見たいです。 (2022年11月20日 1時) (レス) @page39 id: a2f685055b (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - 未夜さん» めっっちゃ嬉しいですありがとうございます………個人的に坂田さんの話は満足の出来だったというかこの話を思いついてから「シリーズにしちゃおう!」となったのでそう言ってくださるとめちゃくちゃ励みになります… (2022年3月19日 0時) (レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:弥生2nd@夢見月 | 作成日時:2020年6月6日 23時