箒星 【Sho Sakurai】 第１章

28. 三度目 ＜S side＞ ページ28

移動車を降りたら。
もう時計は２２時まわってて。



腹減ったなぁ。
家になんかあったっけ？

そう思った瞬間。
不意に思い出したのぞみのこと。



早く帰れる時にはいつだって
「お帰りー」って。
「お腹すいたでしょ？食べる？」って。
食事用意して待ってるのぞみがいたのに。



....ここしばらく思いだすこと
なかったのにな。


.....コンビニ寄って。
なんか調達して帰るか。






そう思って。

頭ん中ののぞみを払しょくして。
マンションとは逆方向へと
歩き始めたその時だった。




目に飛び込んできた、
前方の歩道に座り込んでいる
一人の女性。




....何？ 具合悪りぃの？


.....じゃねぇか。
足痛めてる？ 少し様子見てるけど
なかなか立ち上がろうとしねぇ。






....あーっ、もうっ。
ほっとけねぇじゃんっ(＞＜)





キャップかぶってるし。
早々俺だってわかんねぇだろ。

ケガひどそうなら。
それこそコンビニまで走って
応援呼んでもいいし。






「あの。大丈夫ですか？」




そう思って。その女性に
後ろからかけた声。




「あ、は、はいっ」




そうこたえて。
振り向いたその女性。



「あっ...★」







二度あることは三度ある。
それとも。三度目の正直っつの？

いずれにせよ。身をもって体験。
全く望んではいなかったことだけど。






嘘みてぇだけど。


振り向いたのはあの
北田さんだった....

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