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貴方.



「俺がフィリップと出会ったのは、おやっさんがまるで人間味のねえアイツを託してくれたのがきっかけなんだよ。ボロボロのシャツと伸びきった髪の毛で、自分のことを「悪魔」なんて呼びやがる」

『あく、ま、』

「そこからは大変だったけど、今はここまで立派になったんだ。フィリップは。」




そう言ってきつく握りしめていた拳を開く翔ちゃんは、「中々信じてもらえねえ話なんだけど」と眉を下げて笑った。




「アイツは、子供のときに一回死んでるんだ。ずーっと、データとして生きてきた。」

『え、?!』

「驚くよな。……でも、もう大丈夫。フィリップの姉さんが、体をくれたんだ。フィリップは、正真正銘の人間になった。」




フィリップくんに、そんな過去が……

そのことを考えると、翔ちゃんが私に園咲家を見せてくれた理由も分かる気がした。
これから彼と過ごしていく私にとって、知らなければならないことだったと思う。




「それでも、アイツは家族を失った。口にしないだけで、家族への憧れとか、羨ましさはすげえと思う。俺も似たようなもんだから、分かるんだけどさ……だから、俺と亜樹子は、フィリップの家族代わりなんだ。そんな風になってやれてるかは、分かんねえけど」

『ううん、絶対なれてるよ!……私が言っても信憑性ないけど、三人は本当に仲良しだし、』




「ありがとな」と笑う翔ちゃんは、私の頭をくしゃりと撫でると、「それと」と付け足す。




「これからは、Aもフィリップの家族なんだ。面倒くせえこととか、理解しきれないこともあるかもしれないけど……俺たちと一緒に、いてくれるか?」




夕陽に照らされた翔ちゃんの、困ったような、それでも私の答えを分かっているような、安堵の気持ちが伺える笑顔に、私は力強く頷いた。

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キングミカン(プロフ) - 星原さん» 返信いていただきありがとうございます!シチュエーションですか…やっぱり、夢主が翔太郎とずっと話してて、それにフィリップが嫉妬する…とかですかね?なんか王道すぎてすみません。 (2019年1月29日 21時) (レス) id: c925d19d2b (このIDを非表示/違反報告)
星原(プロフ) - キングミカンさん» 初めまして!ありがとうございます!リクエスト嬉しいです(^_^)シチュエーションを細かく説明してもらえたらありがたいです! (2019年1月29日 20時) (レス) id: 7b61f158ca (このIDを非表示/違反報告)
キングミカン(プロフ) - 初めまして!この作品を楽しく読ませていただきました!夢主ちゃんとフィリップのど飴舐めてるから短編集みたいなのが見たいです!無理言ってすみません。無視してくださっても構いません。ですが、出来れば見たいです!お願いします! (2019年1月29日 19時) (レス) id: c925d19d2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星原 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年1月14日 23時

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