東京卍會の姉貴2

蘭.ソウヤ ページ9

夕方の公園前を通りかかった時、たまたま小競り合いをしていた灰谷兄弟と河田兄弟がいた。

スルーしようとしていたところ、目ざとい蘭に見つかり捕まってしまった。



『帰りたいんだけど』

蘭｢まーまー…A、どっか行ってたの？いつもよりオシャレしてんじゃん｣



スカートなんか履いちゃって、と私のスカートを軽く摘んで持ち上げる。

セクハラだよそれ。



『あー…うん、まあ』

竜｢煮え切らねえな｣

『や、ちょっと…友達と遊びに行ってたんだけどさ』



聞いてくれる？と話を始める。

今日はちょっと大きめの駅ビル前で友達と待ち合わせをした。

時間より早くついてしまったのでボーッと空を眺めていたら、突然声をかけられた。



｢あれ、花垣？｣

『…あ、鈴木くん？』

｢え、めっちゃ久しぶりだねー！｣



声をかけてきた彼は中学の同級生だった。

いわゆるオタクという感じの大人しめな男の子だったはずだけど、目の前の彼は随分雰囲気が違う。

髪は少し明るくなっていて、私服もオシャレだ。



『なんか変わったね』

｢あ、分かる？高校デビューってやつ。花垣は全然変わんないな｣

『まあそんな変わるもんでもないし』

｢本当中学のまんまじゃね？素朴な感じがさ〜。メイクとかしないの？｣

『…しないかな』



当時からちょっと無神経なところはあったけど、そこまで言うか？

モヤっとしたけどその後すぐ友達が来たので、私たちは解散となった。

そのモヤモヤがまだ継続中というわけだ。



『いやオシャレもメイクも疎いのは自覚してるよ？けどそんなこと言われる筋合いないんだけど』

ナ｢仲良かったのか？｣

『別に言うほども。私って芋臭いのかな』



それだけなんだけど、と笑って言うと、黙っていた蘭が突然吹き出して笑い始めた。



蘭｢ちょ、ダメだ無理…高校デビュー如きにマウント取られてんの…っんはは｣

『ちょっと割と真剣な話だったんだけど？！』

竜｢変なとこツボ浅いよな兄ちゃん｣

ナ｢…フッ｣

『鼻で笑ってんの聞こえてんぞコラ』



こいつらに話したのが間違いだった。

帰ってやろうと踵を返したところ、コラッと叱る声が聞こえた。



ソ｢ダメじゃん兄ちゃん、蘭も。Aちゃん真剣に悩んでるって言ってたでしょ｣

『ソウヤ…！』



やっぱりお前だけが味方だよ。

そっと頭を撫でるとえへ、と嬉しそうに笑った。



蘭｢あ〜、悪かったって。詫びにと言っちゃ何だけどさ｣

『ん？』

蘭｢服、選んでやるよ｣

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