東京卍會の姉貴2

平和謎軸 ページ8

捏造


ポケットに入れていた携帯が鳴る。

この携帯は仕事用じゃなく、プライベート用のもの。

発信先を確認し、すぐに受話器を取った。



『もしもし武道？』

花｢あ、姉ちゃん？久しぶり｣



元気してた？と電話の向こうで笑う声が聞こえる。

もちろんだよと私も笑って返した。



『武道こそ元気？もうヒナと結婚してしばらく経つでしょ』

花｢元気だよ。俺もヒナも｣



娘も、と空気が穏やかになる。

幸せな空気が漂う景色が私の目にも映るようだ。

相変わらず幸せそうでよかった。



花｢姉ちゃん、仕事の方はどうなの？上手くいってんの？｣



マイキーくんたちにこき使われてない？と心配そうに聞いた。

その質問ができるあたり、やっぱり変なところ肝座ってるな、私の弟。


株式会社梵天。

消費者金融、いわゆる貸金業。

マイキーは今そういう事業のトップに立っている。

やつらより早く社会人になったは良いものの、ブラック企業に捕まった私を起業して引き抜いてくれたのだ。

助けてくれたマイキーには感謝しかない。



『ううん、全然。たまに返済滞納者の差し押さえ任されるくらい』

花｢裏の人間になったなあ姉ちゃんも｣

『慣れたら武道もできるよ』

花｢うわ一生やりたくねえ｣



俺カタギでよかった、とぼそりと呟く。

失礼だな、私だって立派なカタギだわ。

楽しく歓談していたところ、声を聞きつけたらしい。

マイキーが背後から私の携帯を奪った。



『あっ』

佐｢よ、タケミっち。久しぶり｣

花｢あ、え、マイキーくん？！｣

佐｢何でAには電話すんのに俺にはかけてこねえワケ？｣



わいわいと私を置いて二人が盛り上がり始める。

仕方ないので仕事の続きに取りかかると、しばらく話してからじゃあねと電話を切った。



『あ、切るな』

佐｢…わり｣

『いいけど。仲良しだね相変わらず』



まあねと満足げに頷いた。

中学からの関係がよくもまあここまで続くものだ。

私なんか高校生の時の友達で今も連絡を取り合ってる人なんて一人しかいないのに。



蘭｢A〜、九井が呼んでる｣

春｢すげえ剣幕だったぞアイツ。何しでかしたんだよ｣

『…心当たりしかないから竜胆が代わりに行って』

竜｢ぜってぇヤダ｣



諦めろ、と私の背中をマイキーが押した。



佐｢行ってらっしゃい、姉ちゃん｣

『…あんたもそれ好きだね…』

蘭.ソウヤ→←千壽.春千夜

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