雷の呼吸 ページ11
「善逸……?」
呼びかけてみるも反応はない。突然の出来事に戸惑っていると、善逸が構えを取った。
《雷の呼吸 壱の型
ドンという落雷に似た音がした途端、善逸の姿が消える。
「……………は?」
ぼとっと鈍い音がした。音の方に顔を向けると、鬼の首が地面に落ちて転がっていた。
「何故…!!お前は気を失っていたはずじゃあ…!!」
鬼の顔が屈辱に歪んだ。しかしその顔も次の瞬間には灰となっていき、すぐに全てが灰になってしまった。
「ふごっ……はっ!!!鬼!!!鬼は!!!?いない!!!?Aちゃん倒したの!!!?刀一本折れてたのにめっちゃ強いね!!!!すごいよAちゃん!!!!」
はっと意識を取り戻した善逸はどうやら自分の行動を覚えていないらしく、Aが倒したと思い込んでいるようだった。
「善逸……覚えてないの?今自分で倒したんだよ?」
「は??いやいやいやそれはないでしょ!もーAちゃんてば面白い冗談言うね!」
そして全く信じる気がない。何を言ってもはなから信じない。挙句の果てには「Aちゃん無理して俺のこと褒めなくていいよ」なんて言ってくる始末だ。
「ほんとなんだけどな…まあ信じないなら信じないでいいや、とにかくありがとね!私もう駄目だって諦めかけてたから…善逸のお陰で今も生きてる。本当にありがとう。」
腰を九十度に曲げたお辞儀と共に謝礼の言葉を告げる。
善逸はわたわたと慌てて首を横に振った。
「いや俺は何もしてないから!寧ろ俺の方こそありがとう!Aちゃんがいなかったら俺今頃鬼の夕飯になってたよ!」
「それはこっちのセリフだけど…いや、これ以上言うとキリがないから止めとこ。それより早くここ移動しない?さっき結構大きな音立てちゃったから他の鬼が集まってくるかも…流石にさっきみたいな規格外な鬼はいないと思うけど、私刀一本折れちゃったから極力戦いたくないなあ…」
先の戦いで、二本のうち一本が中心からパッキリと折れてしまっていた。流石にこの刀では首を斬ることは出来ないだろう。
しかし一本で戦うにしても、今まで練習してきた剣術は二刀流のものだ。二刀流と一本で戦うのでは勝手が違う。
「そうだね!今のところ鬼の音はしないけどさっきみたいに突然来ることもあるかもしれない…!早く移動しよう!」
善逸も頷いたので、二人はそこから足早に立ち去った。
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希乃(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます!現在続きを執筆中ですのでしばしお待ちを…! (2019年5月20日 7時) (レス) id: 2c5a503106 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とっても面白いです!続きも楽しみにしています! (2019年5月18日 23時) (レス) id: f66f75f695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:希乃 | 作成日時:2019年5月13日 16時