試験終了 ページ12
「あれ……?ここは……?」
ふと気が付くと藤の花に囲まれた道に立っていた。
隣で歩いていた善逸もきょろきょろと辺りを見回している。
あの強い鬼と対峙してから一日が経過した。
あれからは刀が折れたこともあってひたすら鬼から逃げた。
朝になって体力を回復してからまた一晩生死を賭けた鬼ごっこ。
Aも善逸も既に疲労で限界が近い状態だった。
そんな状態だったからか、二人の思考力が戻る頃には全く来た覚えのない場所を歩いていたのだ。
「えっ?何で俺こんな所にいるの?Aちゃんが連れてきたの?」
不安そうな表情でこちらを窺う善逸。
答えようと口を開いた時、不意に二人の顔に影が刺す。
見上げると、二羽の鴉が頭上を旋回していた。
「試験終了オ!!速ヤカニイ、入口ニ迎エエ!!」
「ぎゃああ鴉が喋った!!!!」
甲高い声で騒ぐ鴉に大袈裟に肩を揺らした善逸は、さっきまでの落ち着きはどこへやら、またぎゃんぎゃんと喚き始める。
「よくそんなに騒げる元気が残ってるなあ…この子達は鎹鴉だから喋って当たり前だよ、伝書鴉だもん。
それより試験終了だって!私たち生き残ったんだよ!」
お互いあちこち怪我をしているが、それでもあの厳しい環境で何とか生き抜くことが出来た。
全て善逸のお陰だとAは思う。
彼がいなければ、確実に自分は死んでいただろう。
本当に彼には感謝してもし足りない。
「カアア!!急ゲ急ゲエ!!」
しみじみと感傷に浸っていると、鴉がまた騒ぎ出す。
どうやら一羽は善逸のことをつついているらしく、隣から泣き声混じりの痛い!という声が聞こえてきた。
「鴉も急かしてるし、早く行こうか!」
「えっちょっ待ってAちゃん置いてかないで!!てか鴉痛い!!!めっちゃ痛い!!!俺だけつつくの止めてくんない!!?」
騒ぐ善逸を置いてAは走り出し、善逸が慌てて後を追う。
鴉もつつくのを止め、また上空を旋回し始めた。
藤の道の終わりはもうすぐそこだ。
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希乃(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます!現在続きを執筆中ですのでしばしお待ちを…! (2019年5月20日 7時) (レス) id: 2c5a503106 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とっても面白いです!続きも楽しみにしています! (2019年5月18日 23時) (レス) id: f66f75f695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:希乃 | 作成日時:2019年5月13日 16時