其の肆 ページ45
「うぇ…」と首を半分八つ当たりのように強く絞められ声を漏らしてから太宰はニヤリと口角で弧を描く。
「何?そんなに怒るって事は寝所に誰かに見られたくない物でも隠してるの?あ、如何わしい物でも……駄目だよAちゃんも居るんだから。中也の様なゴリラにも勝る馬鹿力持ってても仮にも女だからね。」
「違ェし、俺みたいなゴリラにも勝る馬鹿力って何だよ、このまま喉笛掻っ切るぞ!」
「あ、Aちゃんの馬鹿力は否定してあげないんだ…」
太宰の企みに中原はまだ気付かない。
太宰は「あぁ、中也もAちゃんも相変わらず何もかも変わってないなぁ」と内心で微笑んだ。
______
『ぶえっくしょい!』
鼻をすするAは凄く怒られてる気分だった。怒る本人の正体をAは容易く見当がつくが。
『この後は説教かな…いや重力で叩きつけられる?あぁ、想像しただけで恐ろしいな。』
「奇遇だね、ボクも丁度そんな気がしたんだよね。」
『げっ、居たの橋部君。』
「げって酷いなぁAちゃん。」
Aが回転椅子をくるりと回転させ振り向くと貼り付けた笑みを浮かべた橋部が居た。Aは口を引き攣らせる。
『橋部君って顔が人形みたいに整いすぎて笑うと怖いんだよね。』
「それって褒めてます?貶してます?」
『…橋部君、敵対組織の殲滅した後少しでも始末をしてほしいんだけど。』
「うわぁ、話逸らした。そういう契約だろう?太宰君が考えた契約。首領もそれには異論は無い筈だから。」
「だからボクはそういうのはしない」ふふんと笑う橋部君にAは不満気に口を尖らせた。
『知ってるよそんな事。試しに云ってみただけ。これでも君の分の始末は大変なんだからね。あぁ先輩の意見で苦労するのは相変わらずだなぁ。』
「変わらなかったですか?彼は。」
『そうだねぇ、変わって欲しいところは全く変わってないね。
強いて云うなら生き方が少しだけ変わったんじゃないかな。』
「生き方、ですか。それを云うならAちゃんもじゃないですか。中也さんに会って昔と変わりましたよね?」
「昔の貴方なんて見てないですけど」と苦笑いをしてから橋部はくるりとAに背を向けた。
『……橋部君は昔の話を持ち出すから苦手なんだよね。』
冷たく闇から這い出たような暗い声に橋部は肩を疎める。
「怖い、怖い。じゃあボクは行きますね。」
『…何処へ?』
橋部は顔だけ振り返りニコリと笑う。
「太宰君の所へ。」
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もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時