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3_07 ページ31

Aの原語の文章にオレが注釈だらけのト書きを重ねたからだろう、読み解きに時間がかかっているカブさんの横顔を眺めていれば、眉間の皺が行を追うごとに深くなる。


「…なるほど。あのドラメシヤ達は、そういうことか」


ため息をつき、目をこすりながら紙切れを返される。貴重な一点のみの資料なので、そのまま小脇のファイルに片づける。


「ドラパルト一体だけだとしても、手持ちにするにはトレーナー自身の能力も高くなければいけない…ジムチャレンジ経験者かも知れないね、それも後半ジムまでいけるような」

「やっぱり、そう思いますか」

「勿論違う可能性もあるけれど、今の時点では否定はできない」

「はぁ〜…」


厳しい勝負の世界に脱落した、もしくは限界を見つけてしまったトレーナー達が、不正や無理な厳選に手を出すことは、事実としてある。派手できらびやかなジムチャレンジ、花形の公僕ジムリーダーの職務には、そういった影の部分の対処も当然範囲に含まれている。ジムチャレンジャーでないトレーナー達の問題であったとしても、大きな規模のものはジムに協力要請がくることがほとんど。


「実際そういう輩がいるのは分かってはいるんですが。何年やっても、腹立つもんは立ちます」

「まったく同感だ。自分以上にパートナーを大切にしない者には、トレーナーの資格はないと思っている」

最初から三番目のジムとは思えないような辛辣な台詞をこぼすカブさんは、長いキャリアの中でどれだけの何を見たのだろう。

大体どの地方のにも言えることだが、多種多様なチャレンジャーが数多く通過する序盤のジムというのは、後半のジムとはまた違う役割を帯びている。純粋なポケモンバトルに関する知識以外の、情操教育も兼ねるためだ。ポケモンとの絆だったり、共に生きる上で相手を尊ぶ心構えだったり、様々。そこの最後の関門であるジムリーダーに求められる気質は当然、技の強さだけではないだろう。


中身の残り少なくなったマグを握りしめ、目の前の焚火を見つめる。赤々と生き物のように揺らめき、冷え込んできた空気の中でも変わらず熱源の役割を果たしている。

カブさん含め炎ポケモン使いは、火を命に例えるような発言をよくする。現象に命を見出すこともできるのに、命があるのにそれを見出すことができない人間もいる。

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設定タグ:キバナ , ポケモン剣盾 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:aks | 作者ホームページ:http://alterego.ifdef.jp/  
作成日時:2022年10月1日 21時

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