【戦国BASARA】竜と馬鹿姫と、その娘。

十七話　きもち ページ18

貴女side


「む…この男は？」

「『え？』」

『―いっちゃんそれ…ダメっ！』


五郎八と政宗さんに、私の昔の写真(アルバム)を見せていた。
政宗さんと話していると、五郎八が呟いて。
私は一度首を傾げたが、すぐにハッとした。
―そういえば、元彼と撮った写真が入ってた！


「す、すみませ―っあ！」

「……誰だ？この男は。妙に親しげだな」


五郎八は謝ってすぐに閉じたが、その後ろから政宗さんがアルバムを取った。
私と元彼の親しげな写真を見て、彼は無理に笑ってたが、纏うオーラは怒りに満ちていた。
失敗した、と私は黙り込んだ。


「―母様、申し訳ないです！頑張ってっ」

『い、いろはっ？！』

「答えろよ、A」

『っ…』


五郎八は立ち上がり、さっさと逃げて行った。
四つん這いで近づいてくる政宗さんに、私は後退した。


『…前にも言った、元恋人ですよ』

「……」

『でも、今心から大好きなのは…ま、まさむね、貴方だけだよ』


私の背なかは壁についてしまい、それを知った政宗さんは私の両手首を掴んできた。
逃げられないと思って元彼だと白状すれば、彼は無言で。
勘違いされないよう、不安から眉を下げ、私は彼を見上げて貴方だけだと言った。


『ほんとだから、信じて…？』

「―大丈夫だ、最初から全部解ってた」

『へ？』

「この男がお前の元彼だってのも、お前が俺だけだって事もな」


信じてほしい。昔誰を好きだったとしても、今は貴方だけだと。
ジッと空色の隻眼を見つめていると、次にフッと細められた。
政宗さんの言葉が解らなくて思わず声を漏らせば、彼は楽しげにそう答えた。
―嵌められた。


『な、なら、どうして試すようなことをっ…！』

「たまには良いじゃねェか」

『そんなに私の気持ちを疑っているんですか…』


かあっと顔が熱くなった。
どうしてだと言えば、政宗さんはニヤリと笑っていた。
信じてないのかとシュンとした。


「疑っちゃいねェが、たまにはお前から愛の言葉も聞きてぇんだ」

『―…んっ』


政宗さんは私の両手首を解放すると、私の頬に触れた。
愛の言葉が聞きたいのなら、と私は噛みつくように彼にキスをした。


『―これで私の愛が伝わるのなら、何度でも』

「ッは、覚悟しろよ…？」


珍しく目を丸くする政宗さんに、私はニヤと笑ってそう言った。
政宗さんがやられっ放しでいるハズもなく、彼は目を細めると、私の耳元でかすれた声でそう囁いた。
だから、私は頷いて、目を閉じたのだった―。

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