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| 怠け者 ページ17

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あの襲撃から何日経っただろうか。数えるのも辞めた。

探偵社に全く行っていない!!!


「はぁ…そろそろ出社すべき…?」


否、何年も出社しなかったのに怒られなかったから、別に善いのか。私は1人で頷き、自_殺手帳を手に取る。

最近、気付いた事が有るのだ。
川では死ねないと。

なので私は考えた。海なら良いのではないか。


「よし、行こう」


異能最近使ってなかったし、使っても善いかな。なんて思いながら、私は海へ向かった。






と海に着いた訳なのだが。凄く厭な予感がする。
まあ善いか。なんて軽く考え、私は目を瞑る。

____ 【異能力『落ちてゆく世界』】

目を開ければ、何も変わらない風景。何も変わらいヨコハマ。だが、私はどうだろうか。

海の中に飛び込み、冷たい水が体を刺す。


筈だった。
然し、私は違う。

水面を立っていた。

子供の頃の情熱を掻き出された様に、笑いが込上げる。
私は今、海の上に立っている。そして、歩ける。小さい頃、夢見た事の一つだ。

だが、之が続くのも時間の問題。

15分で歩けなく成る様にしたのだ。

ずっと歩けていたら、溺死できないから。


「ふふふっ」


笑い乍、水面を思い切り走る。鎖を外され、自由になった犬のように。風が髪の毛を乱し、一歩踏み出す度に軽く跳ねる水が脚に掛かる。

最高だ。まるで、天国に来たかのよう。


「___え」


然し、其れも直ぐに終わった。





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Aは笑顔を無くし、真顔に成るだろう。
彼女の瞳には半分以上が沈んだ船とそこから湧き出る煙。そして、彼女のよく知る人物。


「ッ、や、僕くん!?」


Aは海に浮く芥川龍之介に駆け寄った。
そして、抱き上げる。

芥川の濡れた髪の毛が、服が、体がAを濡らす。


「…成程。探偵社と闘ったね?」


芥川を抱き上げた儘、歩き出す。未だ生きている事を確認したAは安堵した。


「はぁ、森医師に怒られそうね。意識が戻るかも解らないか」


意識が無い芥川に語りかけるように独り言を続ける。そんな時、何処からか水を蹴る音が聞こえる。


「お仲間だよ」


そう呟いた彼女に返答する様に、


「…く…さか、さ…」


芥川の口が微かに開き、彼女の名前を呼ぶ。
Aは目を見開いた。


「…僕くん、之は夢だよ」


其の瞬間Aは浮遊感に襲われる。
冷たい水が体を刺す。Aは焦りもしなかった。
芥川を離せば、芥川は水面に浮く。

Aは目を瞑り、死を望んだ。



*

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とんかつ(プロフ) - uevevshさん» ありがとうございます!頑張ります! (2023年3月24日 9時) (レス) @page10 id: 9a7e0ef9d9 (このIDを非表示/違反報告)
uevevsh(プロフ) - どうしよう可愛いッッッ!!!!!!面白い作品をありがとうございます!!所々、キュンキュンも入っていて素敵です…!更新待ってます!!! (2023年3月23日 13時) (レス) @page8 id: 7b11ace105 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とんかつ | 作成日時:2023年3月21日 13時

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