千人目の君。2【朔間凛月】 (ページ18)

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五十二人目ページ18

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嵐(?)「まぁ………これが、」

ナッちゃんが思わず演技を忘れて感嘆を漏らした。
無理もない、と思ってしまうほど、それは美しかった。

下界のものに成り下がっただの、汚染されただの彼は言っていたが、目の前にある神の一部は、明らかに常識から外れた美しさを纏っている。

鱗一枚。たった一枚だ。それでも、その一枚を見ただけで、蛇、あるいは龍の姿になった彼がどんな姿か想像が出来るほど、彼に似つかわしい光を放っていた。

薄く水色がかっているような、しかし銀色のような、言葉には言い表せない色をしたそれは、暗く光の入らない祠の中でも虹色に輝いている。赤い粗末な生地で作られた座布団が、彼の鱗の美しさを一層引き立てている。

触れたものを鋭く切り裂きそうな冷たさを持っていながら、認めた者には溢れるほどの幸せを施す暖かさも持っている。

この鱗は彼自身なのだと、一目で理解した。

嵐(?)「なんて…………綺麗…価値のつけようがないわ…」

長「そうでしょうとも！ささ、あまり長く出していると魅入られてしまいます。そろそろお代をいただかなくては。」

いそいそと祠の扉を閉めようとする村長に気分を害されたものの、残りの仕事は僅かだという事実に胸が躍った。

嵐「ええ、此処にあることがわかって嬉しいわ。

＿＿＿じゃ、始めましょうか。凛月ちゃん、お願いね♡」

長「はい？何をおっしゃっているのです？」

変わり身の早い彼に笑みをこぼしながら、密かに構築を続けていた魔法を発動させる。
掌を暗い空に向け、詠唱をするだけ。
今でも美しい彼を、完全なものにするために。

凛「はいはい。承ったよお嬢様。

"神に害なす不敬な者共よ、裁きの時まで、今一度眠れ"」

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