あの少女はとある一族の生き残り 3

新しい命 ページ26

2人で修行した後、イタチはAと別れ家へと帰る

　｢ただいま｣

玄関で静かに靴を脱ぎ、イタチはゆるやかに廊下を歩く

　｢お帰りなさい｣

台所の前を通り過ぎる時、ミコトが声をかけた

　｢母さん｣

　｢なぁに？｣

　｢体調とか悪くない？｣

　｢えぇ、平気よ。ありがとうイタチ｣

ミコトは優しく微笑む

今ミコトのお腹のなかには新たな命が宿っている

弟になるか妹になるか……

イタチにとって初めての兄弟だった

　｢母さん オレ…弟がいい｣

　｢あら、妹だって可愛いわよ｣

ミコトはニコッと笑う
　
　｢弟のような気がする｣

イタチはミコトのお腹をなでる

　｢夏には産まれるわ｣

ミコトはそう言った

そして夏…

木ノ葉病院のどこかの病室で元気な赤ん坊の泣き声が聞こえる

　｢オギャー！オギャー！｣

　｢男の子よ。あなたの弟｣

ミコトは小さい赤ん坊をイタチに見せる

　｢(命だ… 新しい命)｣

小さな赤ん坊を見たイタチはそう思った

　｢名前は決めました？｣

　｢あぁ、サスケだ。うちはサスケ｣

ミコトの問にフガクは答える

この子の名前

自分の弟

うちはサスケ…

　｢(サスケ…)｣

その時、イタチの心の奥に温かいものがぽっと灯った

なんとも言いようのない特別な想いである

　｢あら、いい名前だけどそれって…｣

ミコトが何かに気づく

　｢三代目のお父上の名だ｣

フガクはサスケに優しいまなざしを向ける

　｢三代目には話してある｣

　｢そう｣

　｢サスケなに始めよう育てよう｣

とフガクは嬉しそうにサスケを見る

イタチは自分が赤ん坊の頃、今と同じようなことがあったのかと思い浮かべる

　｢(オレも…そうなんだ)｣

嬉しそうなフガクとミコトを見てイタチは思った

兄弟→←命って…

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