第31話 ページ31
「聞いたかお前達。走って喋る小動物の次は機械に誤作動を起こさせる謎の宝石が現れたそうだ。興味深い話題だろう？しっかり抑えておくんだぞ」
ニュースが｢青いハリネズミ｣から｢謎の石｣についての話題に変わった日から1日経った今日、どの教授も何故か得意気になってその話ばかりするのを生徒達は揃って右耳から左耳へ流していた。
普段の授業もまともに聞かない生徒だっているのに、ニュースの話題に夢中になる訳ではないのだが。しかしアリスは違った。
「アリスったら。バレても知らないわよ」
『これだけ辞書積んでたら大丈夫よ』
そう答えつつパソコンから目を離さないアリスに、エリザは小さくため息をついた。ディスプレイには｢謎の石｣が引き起こしたクレーン事故について大々的に取り上げられているニュース記事が映し出されている。その中でもアリスはその石のイメージ画像に目を凝らしていた。
ダイヤのようなブリリアントカット、翡翠色に光る姿はまさしく宝の石。それに緑色の宝石といえば大体ペリドットか、もしくは。
『……まさかね』
それだけ呟くとやっとパソコンを閉じたアリスにホッと息をつくエリザ。彼女がふと外を見れば、プロペラの音と共に見覚えのある飛行機が近付いてくる。
「あ！アリス見て！この前言った飛行機よ」
『え、……あ！？』
ホワイトボードに夢中になっていた教師がこちらを振り向いて注意の声を上げるのも、エリザが過剰反応したアリスに驚きながらも教師に謝る声も、アリスの耳には届かなかった。運転手は見えないが、あれは紛うことなきテイルスの飛行機……トルネードだ。トルネードが出向くような事件がまた起こったのかもしれない。
「何をしているソーンダイク、 座りなさい！」
『先生！急用思い出したので早退します！』
「は！？おい待て！！」
「な、何だアイツ……」
制止の声もオスカーの独り言も振り切り、まだ完治していないとは思えないほどの足で勢いよく出ていくアリスに、 クラスは騒然とした。エリザがぽかんとアリスの出ていったドアを見つめていると、教室の端に座っていた青年も立ち上がる。
「ヤップ？どうした」
「ボクが様子を見てきます」
「そ、そうか……？なら頼むぞ」
はい、と歯切れの良い返事をして教室の外へ駆けていくダンを、クラスメイトも教師も呆然として見送った。オスカーは頬杖をついたまま舌打ちをした。
「……こちら“スチューデント”。応答願います」
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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