４話 ページ6
｢にゃぁー…やっぱ先輩との重奏は良いですのー｣
｢久々にすると割と楽しいな。｣
などなど、きゃっきゃしているとドアが控えめに開かれる。
｢お疲れ様ですー……って、あ！ この子が噂の？｣
｢おー、水野おつおつー。前言ってた、昔からここに来てる子〜。A、あいつは水野。学年は１個上だから、お前と同い歳だよ。｣
｢へー…お疲れ様です。黒瀬Aです。よろしくお願いします。｣
去年は殆どここに来ていないから、多分すれ違っていてばかりだったのかな。可愛いなー。
｢お疲れ様です、A、おはよう。｣
｢ん…おはよう。とっきー先輩、また今度演奏しましょ。｣
赤司をスルーし、私は後ろを振り向かずに部室を出ていった。誰かにいじられたくもなければ、あまり顔を合わせていたくない。
｢…みつにメッセージだけ残しておこ。｣
Aみつ、今どこ? もう2限の教室いる?
｢これでよし。｣
私はスマホをポケットにしまうと、階段を一段飛ばしで駆け下りる。相変わらず忙しいなぁ、私は。
｢…水野先輩、なんか…なぁ……。｣
ボヤキ声は誰にも聞かれず、ただ空気に溶けてしまう。
｢あり？ Aっち！ 今から授業っスかー？｣
｢うん。教育総論。確か、涼太たちもだっけ？｣
偶然にも涼太とむっくんに遭遇し、私は何故か嬉しくなる。久々に会うからだろうか。それなら、赤司に対しても嬉しくなりそうなんだけどな。
｢俺らは、今年とることになってるっスからねー。｣
｢やっぱ専修ごとに決められてるんだね。取り敢えず、席つこ？｣
言いながら、私はもう１度スマホを取り出す。みつからの返事はまだ来ていない。大丈夫なのか、あの子は。ひとまず連絡だけしておこう。
Aみつー。教室の後ろにいるからねー?
それだけ送り、私たち３人は後ろの方に座る。席に着いた途端に、ラインのメッセージを受信した時の通知音が控えめに鳴る。
｢…？｣
画面を見ると、どうやら2件も届いている。１つはみつからなのだが、もう一つはあの赤司だった。
みつごめん、今みた! 後ろの方リョーカイ! すぐ行く!
赤司急にすまない。今日は2限終わりだろう? 昼、良かったらら一緒に食べないか?
なんだか珍しい。ひとまず、赤司だけに返事をしておこう。
A構わないよ。部室にいてね。
それだけ伝えると、私はもう1度スマホをしまうのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みあ | 作成日時：2017年7月15日 8時
