心にも (ページ21)

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銀ノ魂篇／武士道とは１秒後に死ぬ事と見つけたりページ21

『応答願います、坂本さん』

可愛らしい声が坂本の持つ通信機から流れ出た。

江戸城に居るそよ姫である。彼女の側には前線から退いた信女も居た。

『地球がもうじき消えるってどういう事ですか。破壊兵器って……坂本さん！！』

「なんも心配いらん」

繋げたままだった通信機から、彼女にも圓翔の言葉が聞こえていたらしい。焦りと不安の滲んでいる声に、銃を構えながら坂本はそう応えた。

「いつ滅んでもおかしくなかった星が、いつ滅ぶかハッキリしただけぜよ」

『ええ！？』

その時、ウィーンという音がした。それに反応し壁を見た紫雀の顔が一瞬で強張る。

「走れェェェ！！」

壁から出ていたのは銃だった。管制室で天人を撃ったそれと同じである。
紫雀の声で走り出し、誰にも弾が当たる事は無かったが。

「どうやら我々の動きは既に把握されているようだ！！」

向かいから解放軍が走ってくる。彼等は銃と殺気を坂本達に向けていた。

「最早この船も解放軍も、圓翔(あのおとこ)の道具となり果てた。時間はない。勝算も、」
「だからどうした」

紫雀へと坂本は言い放つ。

彼にも時間も勝算も無い事など分かっていた。

「そんなもんあろうがなかろうが、わしらのやるこたァ一緒ぜよ」

坂本は瞳を閉じて言った後、目を開いて銃を撃つ。それが開戦の合図となった。

坂本、陸奥、紫雀を先頭に、解放軍へと攻撃する。

そう。何も変わりゃせん。

武士道とは死ぬ事と見つけたり、とはよう言うたもんぜよ。

一方その頃。

『本国より援軍到着しました』

「直ちに解放軍レーダー網境界線上に布陣しろ。敵の艦隊を引きつけできるだけ母船から引きはがせ」

バカ皇子が乗っていると一目で分かる大きな艦隊と、無数の小さな艦隊が宇宙を飛んでいた。

その中の１つに乗る桂小太郎が指示を飛ばしていた。

「我等はその虚を突き、ステルス艦にて敵母船に奇襲をしかける。……と、ドラゴニア皇子はおっしゃられている」

たとえ１秒後に最後の瞬間(とき)が訪れようとも、悔いなきよう精一杯生きる。それがわしらの侍というもんぜよ。
１秒が夜明けにまでのびた、何を嘆く事があろう。

喜べ侍ども。我等(わしら)はまだ戦える。悔いなど一片も残らぬまで、戦い切る事ができるのだから。

「もう２度と飲まねェェェェ！！」

地球で銀時が吐きながら宣言した。