心にも (ページ22)

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銀ノ魂篇／今日はステキな破滅の日ページ22

吐き切って回復した銀ちゃんを引っ張って、ドンドン進む神楽を追って走る。前方から聞こえてくる複数人の足音に嫌な予感を感じつつ進んでいれば、案の定解放軍の群れが私達の行く手を阻んだ。

「地球があと６時間で吹っ飛ぶだァ！？」

向かってくる解放軍を斬りながら、通信機からのとっつぁんの言葉にトシが叫ぶ。

さっきまで宇宙の坂本や喜々と話していた姫様が彼に知らせたらしい。

「方々で解放軍が再び動き出したのはそのせいだってのか！？」

「地球がなくなって仲間犠牲にしても、負けるつもりはねェと」

「チッ」

地球に居る解放軍の連中への同情なんか、勿論無い。それでも、大勢の仲間が犠牲になるのを知っていて、その上で地球を滅ぼそうとする奴等のやり方が、心底気に食わなかった。

『まさかこんな方法で、戦意を失った兵隊のケツ叩くとはなァ』

「何か手はあんのか、とっつぁん」

平賀源外を取り戻したところで、地球が６時間で滅ぶ運命が変わるワケじゃない。
平賀源外を取り戻したところで、地球が６時間で滅んだら意味が無い。

『そうさなあ、まだキャバクラやってる所あるかな』

「諦めてんじゃねェ！！」

『諦めてねェよ。きっと世界が滅ぶ直前まで戦うキャバ嬢がいるはずだ』

「そっちじゃねェよ！！」

世界が滅ぶ直前まで金稼いで何の得になるんだよ。
世界が滅ぶ直前までキャバクラ行くって悲しくねェのかよ。

『トシ、諦めるってなそう悪いもんじゃねェ。しがみついてた小さな浮輪を捨てねェと、隣の大きな浮輪を掴めねェ時もあらぁ。とりあえずてめーらは地球の事は放り投げて、源外助け出せ』

「それ１番投げたらダメな奴！！」

「バッカじゃねェの！？」

私も堪らず叫ぶ。向こうに聞こえたかどうかは分からないが、何バカ言ってんだよあの元長官。

「誰もいねェ所に放り投げるワケじゃねェだろ」

突然銀ちゃんが口を開いた。

どういう意味か分からず目を向ける。

「世界を託すのに足りるかどうかはしらねェが、少なくとも俺達以上に諦めの悪い奴等がまだいんのは確かだ」

そんなの、ここに居る人や御庭番衆や、かぶき町の住人くらいじゃ……。

「俺達以上に世界が壊されていくのが気にくわねェ奴が、まだいるのは確かだ」

〝世界が壊される〟。そのキーワードで思い出すのは、１人だけだった。