わたの原

呪いの博打 ページ34

「ちょうかはんか……ちょうかはんか……ウフフ……」


「……『半』だ」




高杉の言葉に、華陀がお椀をパカリと開ける。




「うふふ〜、残念〜。『丁』じゃ」


「ありゃりゃ。今度はアンタが死ぬ番だね」




場と台詞にそぐわない、やたらと明るい声がした。




「そいつは呪いの博打だよ。負けた奴は必ず不幸になるのさ」




その声の主は、隣の牢屋に入れられた神威だった。


手錠と足枷をかけられながら、相変わらずニコニコ笑っている。




「殺しても死なねェ化け物がぬかしやがる」


「わざわざ手当てまでして生かしたのは、公開処刑でもして他の連中への見せしめにするためだろう。日どりはいつ？」


「……３日後だ」




３日か、とまるで他人事のように呟いてから、ニヤリと笑う。


俺とアンタ、どっちが先に死ぬかな、と。




「アンタもわかってるんじゃないかい。春雨(ここ)の連中はどいつもこいつも自分の利権のことしか頭にない、共食いをくり返している愚劣な組織だ」




春雨の力を利用して幕府を討つなんてできやしない。


どれだけ恩を売っても、利用されるだけ利用されてお払い箱だ。今の神威の様に。




「確かに、利用するにせよされるにせよ、こんなふがいない相棒じゃつまらねェってもんだ」




そう言いながら高杉が歩き出した。




「どうせ乗るなら、てめーのような奴の船に乗ってみたかったもんだな」




目を丸くする神威を振り返り、ニヤリと笑う。




「じゃあな。宇宙の喧嘩師さん」

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