地獄で眠るのは ページ35
3日後。
だだっ広い処刑場の真ん中の太い柱に、これまた太い手枷と足枷で神威が捕らえられていた。
相変わらず彼はニコニコ笑っているが。
『者ども、よく見ておけい!!』
提督が集まる観衆にマイクを通して言う。
『これが謀反人の末路だ。我に仇なすは元老に仇なすことと同じ、元老に仇なすは春雨に仇なすことと同じ。これなる掟を軽んずれば、鉄の軍団も烏合の衆と成り果てる』
誰かがボソッと呟いた。
とっくに烏合の衆じゃねーか、と。
『神威よ、貴様は組織に軋轢しか生まぬ存在であったが、最後位は組織の礎のために死なせてやる。何か言い残すことはあるか』
「それじゃあ、1つだけいいですか」
どんな言葉だろうかと、提督の言葉よりも皆が聞き入った。
恨み言だろうか、無念の言葉だろうか、家族への想いだろうか。それとも、
「アホ提督」
『……殺れェェェェ、ブッ殺せェェェ!!』
ただの上司の悪口だった。
怒るアホ提督に、「まァ待てよ」と声がかかる。
「そいつぁ俺にやらせちゃくれねーか」
そう処刑場への階段を上がっていくのは、高杉だった。
「残念ながらサシの勝負とやらは応じてやれなかったが、介錯くらいはつとめてやらねーとな」
第八師団の団長、勾狼が、部下にヒソッと言った。
俺が合図をしたら、
そんな事が裏で指示されているとは思いもしないとでも言うように、高杉は神威から少し離れた所で立ち止まる。
2人とも少し笑っていた。
「こんなオンボロ船に乗り合わせちまったのが運の尽きだったな。お互い……」
「……アンタと俺のゆく先が一緒だと? 地球の喧嘩師さん」
「さあな。少なくとも観光目的じゃねーのは一緒だ」
「観光だよ。地獄廻りだけど」
「ククク。違いねェ」
言い終わると同時、高杉は刀を取り出し神威に向け振るった。
彼の手や足を捕らえていた枷がバラバラになり、神威は倒れる。
それを見届けて、勾狼が合図をした。
背を向けた高杉に、2本の槍が向けられる。
「せめて、地獄で眠りな」
振り返った高杉は、笑っていた。
「オンボロ船の船員どもよ」
次の瞬間倒れていたのは、神威の拳と高杉の刀で倒された2人の天人だった。
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ゆず(プロフ) - リヒトさん» すごく嬉しいです、ありがとうございます! 折角春休みなので、更新ドンドンしていこうと思います! (2020年3月16日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
リヒト(プロフ) - もう好きすぎて1日で全部読んで何回も繰り返して読んでます!!笑これからも更新頑張ってください!!めっちゃ応援してます!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: c6295103af (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» またコメントくださってありがとうございます! 受験なんかに負けず頑張ります! (2020年2月26日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
% - 続編おめでとうございます!ゆずさんの紡ぐ物語は読んでいて心地良いです!カッコいいと可愛いを兼ね備える美女は正義ですね(謎理論) 更新頑張ってください!応援してます! (2020年2月26日 8時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - somariさん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2020年2月25日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2020年2月21日 17時