わたの原

侍だから ページ17

「なんか。気持ち悪くなってきたアル……吐きそう」




真っ青な顔の神楽の言葉に、男達は更に慌てる。




「オイぃぃぃぃ、今度はウンコで気分悪くなったガキがゲロ吐きそうだぞ！！」


「ちょっとォォ、あのガキども何とかしなさい！！ 早く！！ 鬼太郎袋持ってくるのよ！！」




が、次の瞬間、




ゴパァァァ！！




「どんだけもの食ってんだあのガキィィィ！！ 滝のように吐瀉物が！！」


「イヤァァァァァ！！ 何をしているのォ！！ 早く！！ 早くなんとかしなさい！！ こんな汚らわしいウボロロロロロ」


「蒼達様ガブロロロロ！！」




阿鼻叫喚、地獄絵図。


神楽の生み出したアレともらっちゃった者達によるアレが最悪の共演をなしていた。


そして、そんな中。




「汚れても護らなきゃいけないモンがあるって、こういう事アルか」


「アホか。俺の肛門括約筋は近藤さんみてーにヤワじゃねーや。いい年こいてウンコなんざもらすかよ」




近くに落ちてきた誰かの刀を使って、沖田が縄を切ったのだった。


霧江を背負って走り出す神楽と刀を持って走り出す沖田を見て、金髪バカは目を見開く。




「追えェェェェ！！ 追うのよ！！ 絶対に逃しちゃダメゲボロロロロロロロ！！」


「すべって前に進めませゲボロロロロ！！」


「クソッ！！ 逃がすなァァ！！」









☆☆☆☆☆









そしてその頃。


廃屋が立ち並ぶそこに、１台のパトカーが止まっていた。




「どうしましょ！！ どうしたらいいんでしょ！！」




浪士からのメールを受け取った神山が、そう頭を抱える。




「俺１人でこないと、真選組(なかま)呼んだら沖田隊長の命はないって……アイツら、六角事件に関わった連中全員殺すつもりっス」


「そうかい……いくぜ新八」


「ハイ！！」




さも当たり前のように歩き出した２人に、神山が慌てて「ちょっと待って」と声をかける。




「聞こえなかったっスか！！ 仲間つれていったら、隊長……」


「心配いらねーよ」




そう銀時がキッパリ答えた。


俺達は仲間なんかじゃねーから、と。




「仲間じゃない……なら、どうして行くんスか！！」




戸惑ったようなその問いに、振り返らずに言う。




「アイツと同じ、侍だからだ」




ここで行かなかったら、大事なモンが折れちまうから。

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