手を汚す役目 ページ18
バタバタと大人数の足音が聞こえる。
崩れかけの壁に隠れてそれをやり過ごしながら、溜息をついた。
「まいったぜ。だからガキゃ嫌いなんでィ」
霧江を背負っていた神楽の足は、今満足に動かない。
銃で撃たれたのだ。
「……お前の足手まといになるのだけはゴメンネ。霧江連れて逃げるヨロシ」
「てめーに貸しつくるのだきゃ御免こうむらァ。それにガキに後からブッスリやられちゃかなわねーんでね」
ぶっきらぼうな声にぶっきらぼうに返してから、また辺りをそっと確認する。
「……奴等の狙いは俺だ。俺が出たら、逆方向に逃げろ。てめーなら足1本でそこそこいけるハズだ」
そう告げて、腕を組んだ。
「いいか。この一件、誰にもしゃべるんじゃねーぜ」
「……お前1人で片すつもりアルか」
「この件に関しちゃ、こっちも偽証だなんだ色々やってんでね。土方さんにバレちゃクビになっちまうわァ」
「……隠したいのは、ホントにそっちアルか」
静かに言われる。
問いかけの形ではあったけれど、彼女の中でもう答えは出ているような口調だった。
「霧江の耳にパピーのやった事が入らないように、知ってる奴全員黙らせるつもりなんじゃないアルか」
「そんなんじゃねーよ」
「……お前、本当にそれでいいと思ってるアルか」
いつの間にかすっかり暗くなった空を見上げながら応えれば、今までよりも少し強めの口調で言われる。
「霧江のパピーが何の悪事を働いたのか知らない。なんで死んだのか知らない。でもそれを霧江に知らせないまま、お前が罪をかぶったまま隠しておくことが、霧江にとって、お前にとって、本当に最善だと思ってるアルか」
「……言っただろ。汚れた目ん玉だからこそ見えるもんがあるって」
チラッと、気絶したままの霧江を見た。
「コイツの親父はなァ、家族のため……娘護るため、てめーの手を汚して死んでいったんだ。その娘が今度、親父のために手ェ汚そうとしてる」
バカげた話じゃねーか、と。
でも、
「俺を仇と思ってる限り、コイツの手は汚れることはねーよ。なんせ俺ァ無敵だからな」
仇討ちなんて、誰も喜ばない。
それこそ、霧江の父親が1番。
自分の子供に手を汚してほしい親なんて、居ないだろう。
「そいつぁ、俺達の仕事だろ」
背後に迫っていた2人を一瞬で斬り、返り血を浴びて不適に笑う。
「手ェ汚すのは、俺達の役目だ」
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ゆず(プロフ) - リヒトさん» すごく嬉しいです、ありがとうございます! 折角春休みなので、更新ドンドンしていこうと思います! (2020年3月16日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
リヒト(プロフ) - もう好きすぎて1日で全部読んで何回も繰り返して読んでます!!笑これからも更新頑張ってください!!めっちゃ応援してます!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: c6295103af (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» またコメントくださってありがとうございます! 受験なんかに負けず頑張ります! (2020年2月26日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
% - 続編おめでとうございます!ゆずさんの紡ぐ物語は読んでいて心地良いです!カッコいいと可愛いを兼ね備える美女は正義ですね(謎理論) 更新頑張ってください!応援してます! (2020年2月26日 8時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - somariさん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2020年2月25日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2020年2月21日 17時