【文スト】一目惚れ同士。だけど私は婚約者。

　　　第三話　願わない鼓動、知らない夢。 ページ14

「うあぁぁぁぁぁっ！」

　Aに追い帰されて不貞腐れて居た、帰り道。家の中から、思いもしない叫び声がする。何かに激怒したような、追い詰められている様な。そのときの中也は、Aがどんな想いをしていたのかも知る事無く帰っていった。




○○○○○




「お早う、仙人掌(サボテン)さん。」

　久しぶりの早起きに若干の眠気を感じながらも、霧吹に水を入れ、机の上に措かれた仙人掌に独り静かに戯言を云っていた。

(仙人掌がしゃべってくくれば、いいのに…)


　そんな事を想いながらも、今日の仕事を確認し、準備に取り掛かる。

　そう云えば、二時半からの武装探偵社との打合せ、乱歩さんも来るのかな？若しも来てたら、どんな風に思われてるんだろう……。


　乱歩さん＿＿その言葉が私の胸の鼓動を早くさせる。

　テレビから聴こえるアナウンサーのニュースも、芸能人の娯楽業(エンターテイメント)も何もかも聴こえなくなり、台所からお湯が出来たと言う合図が聞こえ、台所に向かう。


「あっつぅ！」


　間違えて触れてしまった、右手をお水で冷やしながら、私は魅入る様にテレビを見ていた。

　画面に書かれていたのは恋愛運勢が最高だということだった。まるで、乱歩さんと逢う事が約束されていないのにもかかわらず、まるで、絶対に逢えると思うひと時だった。







＿＿＿＿＿右手は火傷したけどね。

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