終章 3 ページ26
「...私は、何もお話することはありませんが。」
ドンという鈍い音とともに背中に衝撃があって。
蹴られたのだと思う。痛い。
「あんたのせいで、ミキがマネージャーから降格したんだよ!!
跡部君のために頑張ってたのに!!!」
ミキって誰だろう?
できるだけ多くの人と関わりを持とうとはしていたが、
その名前には聞き覚えがなかった。
というより、マネージャーが降格なんて普通はありえないもので。
監督の逆鱗に触れるようなことをやらかしたんだろう。
くだらない。他人のせいにして。
もう軽蔑を通り越して呆れのレベルだ。
黙っていると、また蹴りが入る。
間を置かず「なんだよその目はぁ!!」なんてお決まり台詞と共に
鳩尾(みぞおち)に拳が入った。
咳が喉を追い越すように出た。
苦しそうな私に御満悦の表情を浮かべる先輩は、
派手な高笑いをさらけ出す。
次はバチンと音が鳴り、頬が熱くなった。皮膚がぴりぴりと震えた。
じんじんとする痛みに顔をしかめながら先輩を見ると、
私をぶったのであろう左手を掲げてニヤニヤと下品に笑っていた。
────────突如、脳に電流が走った。頭に血が上る。
一度やり返したら抑えが効かないので抵抗しなかったが、
顔だけは守らなければいけない気がして反射で体が動く。
ポニーテールを掴む手を引き剥がすと、捻りあげて、背負い投げを決めた。
だんっ、と随分小気味よく聞こえた音と一緒に先輩は背中から地面に落ちる。
短い悲鳴が聞こえるが何も気にならない。
背中って息が詰まって苦しいですよね。
さっき蹴られたのでお返しです。
倒れた先輩を足で転がしてうつ伏せにすると、腕を捻りあげて腰掛けた。
苦しそうに呻いているが、関節を外さなかっただけ手加減した方だ。
「で、何ですか?」
目を細めながら言えば、先輩4人が後ずさる。
あらあら、誰も私の下敷きになっている貴女を助けようとはしませんね?
私の方が小柄なのに、先輩たちはそろって怯えている。
ボディーガード、所謂SPを付けているお嬢様も多いけれど、
最近では身を守る術を習う人も少なくはない。私も含めて。
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√ルート(プロフ) - 返信が遅れてしまい、申し訳ありません!!そんなに気に入って頂けるなんて、悩みながら書いた甲斐がありました...(笑)とても励みになります(≧▽≦) (2018年8月20日 2時) (レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - このお話、大好きです!文才力すごいですね! (2018年8月16日 3時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
√ルート(プロフ) - くしぇるさん» 処女作でそんなことを言って頂けるなんて感謝感激雨あられです!新作でお会いできたときには、応援して下さると嬉しいです! (2018年4月28日 11時) (レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
くしぇる(プロフ) - めっちゃ面白かったです!! (2018年4月26日 21時) (レス) id: bc0907c9ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:√ルート | 作成日時:2018年3月27日 23時