序章 3 ページ3
小等部四学年に進級した時、跡部 景吾と同じクラスになった。
同じ学校とは知っていたが、コンクールで何度か相見えただけだったので
別段気にもとめなかったし、仲良くなるなんて言語道断。
そんな気はさらさらなかった。
ただ、景吾の周りにはいつも人がたむろっていて、
この人と一緒のクラスだとうるさいな、ぐらいの感想だ。
そんな時、四月の一番最初に行われるヴァイオリンのコンクールで景吾の姿を見た。
私の結果は最優秀賞。
練習の結果として当然だと思っていたが、
1位でなければ後が怖いので少しホッとした。
表彰式も終わり、休憩室で迎えを待っている時に
突然景吾が話しかけてきたのだ。
「お前。一之宮 香燐だな。」
椅子に腰掛けていた私の前にいきなり出てきて、そう藪から棒に言い放った。
これが私と景吾の最初の会話だ。
小学生とは思えない威圧的な雰囲気と上から目線の口調に
内心イラッときながらも、淡々と返した。
「そうですが、私に何か御用でも?」
「いや、お前のヴァイオリンの演奏が好きだったからな。
感想を言いに来ただけだ。」
全くもって想定外の発言に、目を見開いてしまう。
確か、今日のコンクールの景吾の順位は私に続いて優秀賞。
てっきり負け惜しみを言いに来たのだと思っていたのに。
この人は私を褒めるためだけにわざわざ来たの?負けた相手に??
表情が崩れていることに気づき慌てて真顔に戻すと、
景吾は特に気にしている様子もなく続けた。
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√ルート(プロフ) - 返信が遅れてしまい、申し訳ありません!!そんなに気に入って頂けるなんて、悩みながら書いた甲斐がありました...(笑)とても励みになります(≧▽≦) (2018年8月20日 2時) (レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - このお話、大好きです!文才力すごいですね! (2018年8月16日 3時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
√ルート(プロフ) - くしぇるさん» 処女作でそんなことを言って頂けるなんて感謝感激雨あられです!新作でお会いできたときには、応援して下さると嬉しいです! (2018年4月28日 11時) (レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
くしぇる(プロフ) - めっちゃ面白かったです!! (2018年4月26日 21時) (レス) id: bc0907c9ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:√ルート | 作成日時:2018年3月27日 23時