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「あれは、何をしても守りたい人ですが、同時に危険な存在でもあります。本人もさることながら、周りもまた、変に巻き込まれた場合はその限りではありません。先輩、どうかお気をつけて。貴女もまた、私が守るべき人でもあるのですから」
そう言って、Aは少し微笑んだ。残ったコーヒーを全て飲み切り、ひとつ息を吐く。
「Aちゃんは、どうしたいの」
あんずは尋ねた。
「どう、とは」
きょとんとするAに、あんずは失敗したなと思った。
「これから、……なんて、未来の話をしてもどうしようもないよね、そうだよね……ごめんね」
「……いいえ。いいえ、そんなことはありません」
Aははっきりと言った。その目は、あんずをしっかりと射抜いていた。
「先輩のその言葉だけで、どれだけ私が救われるか。少なくとも、私の身を、私自身の心を案じてくれる人がいる。それだけで……それだけで、十分です」
そう言って笑ったAの顔は晴れやかだった。
「大丈夫、何とかしてみせます。私だって、何もできない小さな鈴なだけじゃあないと、証明してみせます。それが私の、三毛縞Aという人間の、最初の一歩です。ひとつずつ、私が私であると証明してみせる。それがきっと、私が強くなるために必要なことだと思います」
Aは立ち上がった。テーブルに影が落ちる。あんずも続いて席を立ち、二人は連れ立って店を出た。
「今日はこの後……？」
「学校へ行って課題を受け取ってきます。そしたらESビルでちょっと書類仕事を……それが終わったら帰宅です」
「そっか。私は先にビルに行くね」
「はい、先輩」
学校へ向かう道とESへ向かう道で、二人は別れた。ESへ足を向けるあんずが少し振り向くと、Aは小さく手を振ってくれた。見送ってくれているのだ。
――また後で。
そんな思いを乗せて、あんずは手を振り返した。そうして、前を向いて歩を進める。次に振り向いた時にはもうAの姿は雑踏に消えていた。
ちょうど鞄の中にはDouble Faceの新曲が入っている。いつもは桜河こはくに先に会うけど、今日は斑の方を探してみよう。彼の妹のことを話題に出す必要はない。ただ何となく、「そういえば血がつながっているんだな」と思いたいな、とそんな気がした。
本当の幸いなんて高尚なものより、ささやかな幸せをそっと抱きしめるのが、本当に幸せに生きるための一歩だと思うから。
終
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Chris(プロフ) - 冬枯さん» 元々あんスタ知ったこと自体ツキウタ。がきっかけで、あんスタ→ツキウタ。→あんスタ(今)みたいな感じなんです。製本も、とりあえず自分用に作ってみて、満足行く出来なら頒布に出そうかな、くらいなので本当におかまいなく……>< Musicの星5千秋は大変でした^^; (2021年1月10日 11時) (
レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 本欲しい…でも無理そう…面目ない… 主さんツキウタ。ご存知だったんですね！まだツキアニ。2を見た程度で何も知りませんが少しずつ知る予定です。☆5千秋おめでとうございます！更新しつつはヤバいっすね…！これからも応援してます！ (2021年1月9日 14時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
Chris(プロフ) - 冬枯さん» いつもコメントありがとうございます！そうなんです、プロ科の1年生です。本編ではつぼみまでの成長で、開花まではしませんが、いろんなアイドルたちと関わる中で成長していく主人公を描き出せればと思います。 (2020年12月31日 17時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 続編ありがとうございます！！主人公ちゃんは正式に作られるプロ科の1年生か！！あんずちゃんなどの力を借りて成長していくんですかね…？その前に何かありそうな気もします…読めば読むほどお話に引き込まれる感じがします！これからも更新楽しみにしてます！ (2020年12月31日 15時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chris | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/
作成日時：2020年12月17日 23時
