122話【恋は人に依存させる呪いの魔法】 ページ4
この部屋に来たのは何回目だろうか
畳の上でも痛くならないように、彼が用意してくれた座布団の上に座る
シーンとした部屋の中に響く、時計の針ともうひとつの音
先程から何も喋らず、黙々と書類に何かを書き続ける彼
そんな彼の姿は少し新鮮で珍しいなぁと思いながら見つめる
だが、彼が書いている書類の内容はまるで子供の感想文のようで
それでいいのか。なんて部外者ながら気にしてしまう
『...トシ兄ならちゃんと書いてるんだろうな』
ボソッと思ったことを口に出す
彼は今、小姓のことに精一杯でそーちゃんが私を仕事時に連れてきても怒りはしなかった
いつもなら私自身も控えていたところだけど、今日は彼がすこし変...
『...何？』
じーっと私を見つめる視線に気づいて、思わず低い声を出す
トシ兄と比べてしまったことに腹が立ったのだろうか
『...今日、なんか変だよ？...私なんかした？』
自意識過剰かもしれない
でも、彼とずっと居て分かったことがある
彼の態度に違和感がある時はだいたい私が関わっている
『...とりあえず、その書類書いて銀ちゃんのこと釈放したら話を........』
そこまで言いかけて、口を閉じる
彼が
彼らしくない、怯えた顔をしていたからだ
『...そーちゃん？』
沖「........なんでそんなに旦那を釈放してぇんでィ」
やっと聞けた彼の本音
そうか
ずっとこのことが気になってたのか
(... 二兎追うものは一兎も得ず、だよね)
私は前世の記憶を思い出した時点で原作通りに進めるべきだと思ってた
それが何故だ、と聞かれると分からない
でも私がこの世界で生きていく上でいちばん大切にしなければならないことだと思ったんだ
だから、昔の私なら彼の機嫌よりも原作通りになることを優先していたはずだ
彼の機嫌は二の次
そう思っていた
...そう思っていたのに、最近はこの目の前にいる彼がどうしようもなく好きでたまらない
好きで好きで、大好きで
気づいた時には私の中で失いたくない、傷つけたくない大切なひとりになっていた
前世では推しだと騒いでいただけなのに
それなのに今は...
『...すき。大好き、そーちゃん』
彼はまだ仕事中なのに
いつもなら自制できるはずなのに
今は抑えられない
沖「おい、A...」
彼の口を塞ぐように唇を合わせる
どうやら私は彼にあんな顔をさせるぐらいなら、原作なんてどうでもいいと思ってしまうほど生意気になってしまったようだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 497人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チョコ - eye❤️‍🔥さん» eyeさん、嬉しいコメントありがとうございます😭今週の日曜日からまた始めるつもりなので、楽しみにしてくださると嬉しいです！応援ありがとうございます🙇♀️ (1月4日 1時) (
レス) id: bfcb0a062c (このIDを非表示/違反報告)
eye❤️🔥 - チョコさん» 本当にめちゃくちゃ好きな作品なので、ゆっくりで全然構わないので続きが見たいです……！！ご迷惑でなければ、更新頑張ってください！！いつも神作品ありがとうございます！！！🙇 (12月27日 13時) (レス) @page37 id: f7f5f582e8 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - レーニャンさん» 別の方へのコメントだったんですね！！バグが起きちゃったんですかね？？それにしても、わざわざ訂正して頂けるなんてありがとうございます！頑張ります！ (8月13日 1時) (レス) id: d5e6f8a11f (このIDを非表示/違反報告)
レーニャン(プロフ) - なぜか別作品にしたはずのコメントがここまで!?まぁ、この小説好きなので、ちゃんとしたコメントがしたかったのですが、これからも更新頑張ってください！(文脈が弁財天白竜王権現) (8月7日 9時) (レス) id: b30d9de8f4 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - レーニャンさん» コメントありがとうございます！！ (8月6日 16時) (レス) id: c5c24f9f2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チョコ | 作成日時：2023年7月16日 23時
