混血皇女【オリジナル】 (ページ24)

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化物狐の血筋 2 ページ24

蓮月が生まれて数年の月日が流れた。

｢あら、羽菜さん｣
声を掛けたのは近所に住んでいる、蓮月と同い年くらいの子を持つ母親たちだった。
｢あ、こんにちは! みなさんお揃いで…｣
｢蓮月ちゃんは？元気？｣
｢蓮月ですか？元気ですよ、女の子なのにやんちゃざかりなもんですから｣

羽菜は完全に人間界に溶け込んでしまい、日々危機感を持てと言われていた妖たちのことをとうに忘れてしまいかけていた。

自らが妖の皇女である以上、身を狙われる危険性は生きている限り付き纏う。
例え人間界に住み着こうが、妖たちの所へ戻ろうが、同じことだった。

｢羽菜さんの旦那さんのお呪いやお祓いって、とっても効くって聞いたんですけど、本当？｣
興味津々、と言った目で羽菜を見つめてくる女達。
｢え、いや、それほどでもないですよ、夫は｣
｢でもその手の事業で成功を収めてる方なんでしょう？それに対してうちの旦那ときたら…｣
ここで井戸端会議の火種が切って下ろされた。

(そろそろ帰らないと、絶対長話になるな)
｢あの、そろそろ蓮月が帰ってくるので失礼します｣
タッタッタッと走って我が家へ戻る。

蓮月とは家の門の前で合流した。
｢母さーん、ただいまー！｣
｢おかえり、蓮月。｣

可笑しな臭いが鼻を掠めた。
血腥い、嘗ての故郷を思い出すような臭いだった。