* ページ7
·
「泣けよ。泣きたいんなら。
まあ、泣く元気もねぇなら無理に泣けとは言わねえけどさ。
...お前ら、何か責任、感じてるらしいじゃん。
彩が事故に遭う前、最後にいたのお前ららしいし。
しかも、喧嘩して彩が家を飛び出したんだって?
で、自分たちがあの時止めてればとか考えてんのか?
...それ、間違ってっから。
彩が家を飛び出したのはあいつの意思だろ。
あいつはお前らと話し合うことを放棄して、怒りまかせに家を出ていった。
自転車でそこそこスピード出しながら坂道を駆け下りて行った。
何を考えてたんだか、ぼんやりしていて車に気付かなかった。
...全部あいつがした選択だ。
人間、生きているのに正解なんてないだろ。
自分でそれらを掴み取らなきゃいけない。
あいつはそれを選んだんだ。
意図的じゃなくてもな。」
静かにそう言うと、ゆっくりと若武の頭から手を離した。
そして、小さく溜息を零し、口角を上げた。
「まあ、そうは言っても俺もまだ受け入れられてねぇんだけど。
...要するに、あんまり思い詰めんなよって話。
俺は、今を後悔するよりも彩に感謝したいと思ってる。
あいつと兄妹でいれたからこそある思い出もある。
俺一人じゃ手に入れられなかった幸せをあいつはくれたんだ。
それに感謝したい。
中々難しいことだとは思うし、きっと長期戦になると思うけど俺はそうするつもり。
お前らもさっさとその気持ちをどうするか考えるといいんじゃね?
大分楽になっから。」
じゃあな。
そう言ってひらりと背を返し、来た道を戻っていく裕樹の姿をじっと見つめた。
それまでどこか虚ろげな表情だった若武が少しだけ瞳に力を戻し、はあっと溜息を零した。
そして、尊敬の念を込めて、裕樹の姿が見えなくなってもしばらくそちらを見続けた。
「...ほんとにかっけぇよな、裕樹さん。」
「...あぁ。凄いよ、あの人は。
アーヤと同じで、とても強い。」
「ん。兄妹揃って最強だな。」
小さく笑い合う。
昨日まで普通に笑い続けていたはずなのに、酷く久しぶりな気がした。
「...で、どーすんの。泣く?」
どこかからかうように言った美門。
だが、既にその声は震え、瞳には薄ら膜が張られていた。
と、その瞬間。
「.....っ...ふ...っ...」
微かに聞こえてきた泣き声。
見れば、ボロボロと涙を流す小塚の姿。
頬を伝う雫を拭いもせず、視線を下に落とし、ポタリと地面に染みを作った。
「...アーヤっ...」
君に、逢いたい_______
·
40人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小四 - 感動しちゃいました。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page8 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - ゆうひ「俺お前のこと好きだよ」 忍「 ちゃんと砂原の声聞こえたんだよかった」 翼「 俺としては必ずキメるつもりなんだ」 砂原「 俺、声聞きたいって言ったろ。聞かせてよ。ひと言でいいから。」 ゆうひ忍翼の3人は恋する図書館砂原は コンビニ仮面に乗っています (2021年4月21日 21時) (レス) id: be27a6782a (このIDを非表示/違反報告)
morosu武(プロフ) - 「俺、才能なんてないよ。いろいろできるって思われてるみたいだけど、それって全部、努カの結果だから。」ハ一ト虫の翼の言葉です!がんぱってください! (2020年10月18日 21時) (レス) id: a42120e652 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - morosu武さん» 似てますか!?ありがとうございます!!いや、一応意識してアーヤちゃんに似せるように書いていたんですけど、書いているうちに あれ?なんかアーヤに似てない、かも…… と不安になっていたので、嬉しいです*何とか早く仕上げていきたいです。頑張ります! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - リリーさん» やーっと小塚くんまできました〜!いや、ほんとに進みが遅い。愕然としております。翼と忍、早く登場させたいなぁ……(遠い目)もう段々寒くなってきましたので、リリーさんも体調等お気をつけ下さい。毎回コメントありがとうございます* (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セダム | 作成日時:2019年7月31日 23時