第1章 今生の別れ ページ2
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「っ...!もう、いいっ!
私、帰るっ!」
「ちょっと待ってよ、アーヤ!」
「...ほっとけ。そのうち頭も冷えんだろ。」
「おい、その言い方は...」
「俺、悪くねぇもん。」
「...ガキかよ。」
「あ?んだと?もっぺん言ってみろよ!」
「ちょ、2人とも!あ、アーヤ、待ってったら!!」
バタンっと荷物を片手に扉を閉じた。
ふーっと大きく息をつく。
...もう、ほんっとに信じらんない。
あの男、何考えてんのよっ!
胸の中に広がるイライラを抑えつつ、何事かと顔を出した島崎さんに軽く挨拶にすると、さっさと家を出た。
カチッと自転車に鍵を挿すとサッとサドルに跨り、足に目一杯力を入れて漕ぎ出す。
...とは言ってもすぐに坂道になり、勢いよく下ることになのだけれど。
さあっと風が肩までついている髪を吹き抜けて気持ちがいい。
思わず目を細めながら、遠くを見た。
オレンジ色の夕焼けが街を彩っているようでとっても綺麗なの。
もう少し遠くに行くと確か海があったから今度、ちょっと暇な時に行ってようかな。
今の時間にいたら絶対綺麗なんだろうなぁ。
そんなことを考えながら、スピードを出し過ぎないように軽くブレーキを握り締めた。
そして、誰もいないことをいいことに小さく鼻歌を歌ってみたの。
実はこうやって自転車に乗りながら歌を歌うって何かちょっと憧れだったんだ。
前に読んだ小説でやっていて、とっても気持ちよさそうだなって思ったから。
でも、現実でやっていたらちょっと変な人じゃない。
だから、今がチャンスだよねっ!
ちょっぴりドキドキしながら選んだその曲は、最近、よく家で流れているクールボーイのもの。
アップテンポな曲でちょっと落ち込んでいる時なんかに聴くととっても気分が上がるんだ。
それに、高宮さんのソロもあるしね。
「〜♪」
ふふっ
小さく笑みを零した。
音楽の力って本当に偉大。
だって、あんなにムカムカしていた気分がすうっと消えていくんだもの!
音楽、バンザーイっ!!
ふふんっと歌いながらぼんやりと頭の片隅で先程のことを思い返した。
...少し言いすぎちゃったかな。
正直、間違ったことは言ってないと思うけど、言い方がキツかったような気もする...。
若武、理解してなさそうだったし。
国語のエキスパートなんだから、ちゃんと相手に伝わるように、納得出来るように話すべきだったよね。
なのに、私、すぐ怒っちゃったからなぁ...。
小さく溜息をついた。
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小四 - 感動しちゃいました。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page8 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - ゆうひ「俺お前のこと好きだよ」 忍「 ちゃんと砂原の声聞こえたんだよかった」 翼「 俺としては必ずキメるつもりなんだ」 砂原「 俺、声聞きたいって言ったろ。聞かせてよ。ひと言でいいから。」 ゆうひ忍翼の3人は恋する図書館砂原は コンビニ仮面に乗っています (2021年4月21日 21時) (レス) id: be27a6782a (このIDを非表示/違反報告)
morosu武(プロフ) - 「俺、才能なんてないよ。いろいろできるって思われてるみたいだけど、それって全部、努カの結果だから。」ハ一ト虫の翼の言葉です!がんぱってください! (2020年10月18日 21時) (レス) id: a42120e652 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - morosu武さん» 似てますか!?ありがとうございます!!いや、一応意識してアーヤちゃんに似せるように書いていたんですけど、書いているうちに あれ?なんかアーヤに似てない、かも…… と不安になっていたので、嬉しいです*何とか早く仕上げていきたいです。頑張ります! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - リリーさん» やーっと小塚くんまできました〜!いや、ほんとに進みが遅い。愕然としております。翼と忍、早く登場させたいなぁ……(遠い目)もう段々寒くなってきましたので、リリーさんも体調等お気をつけ下さい。毎回コメントありがとうございます* (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年7月31日 23時